GF-AASによるリン酸緩衝塩類溶液中Ag,Cu及びNiの正確な定量分析のための溶液調製法の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Analytical Procedure for the Accurate Determination of Ag, Cu and Ni in a Phosphate Buffered Saline Solution Using GF-AAS
  • GF-AAS ニ ヨル リンサン カンショウ エンルイ ヨウエキ チュウ Ag,Cu オヨビ Ni ノ セイカク ナ テイリョウ ブンセキ ノ タメ ノ ヨウエキ チョウセイホウ ノ ケントウ

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抄録

リン酸緩衝塩類(PBS)溶液中のAg,Cu及びNiを,黒鉛炉原子吸光分析法(GF-AAS)を用いて精確に定量するために,PBS溶液がこれら金属の測定感度やリニアダイナミックレンジに与える影響を詳しく調べた.この目的のために,硝酸(HNO3)及びPBS溶液中におけるAg,Cu及びNiの検量線を,グラファイトチューブ型及びパイロチューブ型キュベットを用いてそれぞれ作成して比較した.PBS溶液中Agの測定感度は,HNO3溶液と比較すると,パイロチューブ型では30% 程度低下したが,グラファイトチューブ型ではこのような感度低下は観察されなかった.PBS溶液中Cuの測定感度は,どちらのキュベットを用いてもHNO3溶液と比較して低下した.一方,Niの場合は,どちらのキュベットでも感度の低下は観察されなかった.リニアダイナミックレンジを超過する濃度を測定するときは,レンジ内に入るように溶液を適宜希釈すれば良いが,PBS溶液中の場合,Ag濃度が400 μg L−1以上のときは難溶性Ag塩化物沈殿が,また,Cu濃度が200~500 μg L−1程度のときはCuの水酸化物沈殿がそれぞれ形成してしまい,測定感度や精度に悪影響を及ぼすことが分かった.GF-AASを用いてPBS溶液中のAg,Cu及びNiを定量するときは,そのリニアダイナミックレンジ及び感度に留意するべきであり,さらにレンジを超過するこれら元素を精確に定量するためには,沈殿形成を回避できるように実験を設計するか,あるいは前処理によって沈殿物を溶解させてから測定する必要がある.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 65 (8), 457-463, 2016

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (7)*注記

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