多段濃縮分離機構を備えるICP-MSによる放射性ストロンチウム分析

  • 高貝 慶隆
    福島大学共生システム理工学類 福島大学環境放射能研究所
  • 古川 真
    福島大学共生システム理工学類 株式会社パーキンエルマージャパン
  • 亀尾 裕
    国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
  • 松枝 誠
    国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
  • 鈴木 勝彦
    国立研究開発法人海洋研究開発機構

書誌事項

タイトル別名
  • Radioactive Strontium Measurement Using ICP-MS Following Cascade Preconcentration and Separation System
  • タダン ノウシュク ブンリ キコウ オ ソナエル ICP-MS ニ ヨル ホウシャセイ ストロンチウム ブンセキ

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抄録

誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)による放射性ストロンチウム(90Sr)の超微量分析手法について概説する.二つ以上の異なる原理の濃縮法や分離法を化学的に融合した多段濃縮分離機構であるカスケード濃縮分離法は,分析機器の感度と分析性能を飛躍的に向上させることができる.本論文では,東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所事故を発端として開発されたカスケード濃縮分離法を内蔵したICP-MSによる放射性ストロンチウム分析法について論じた.また,合わせて開発された混合ガス効果,内標準補正シグナル積算法,スプリットラインを利用する定量と回収率の同時測定法などを総説した.これらを統合して使用する分析法では,90Srの検出下限値が0.056 ppq(0.28 Bq L–1)を示し,10 ppq(50 Bq L–1)での繰り返し分析精度(n=10)が相対標準偏差2.9% を20分程度で達成できる.本技術は,これまで放射能分析及びICP-MS分析では達成できなかった分析化学的問題を化学システムとの組み合わせによって打開し,新しい可能性があることを総説した.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 66 (4), 223-231, 2017

    公益社団法人 日本分析化学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (2)*注記

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