国際保健医療における国際原子力機関(IAEA)の取り組みについて

  • 渡邉 直行
    国際原子力機関原子力科学応用局核医学課コンサルタント IAEA/RCA RAS6063プロジェクト日本コーディネータ 国立保健医療科学院研究課程 群馬県桐生保健所(兼)館林保健所

書誌事項

タイトル別名
  • Efforts made for health and medical care by International Atomic Energy Agency
  • コクサイ ホケン イリョウ ニ オケル コクサイ ゲンシリョク キカン(IAEA)ノ トリクミ ニ ツイテ

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抄録

2002年から2009年まで国際原子力機関(International Atomic Energy Agency,IAEA)原子力科学応用局ヒューマンヘルス部核医学課高等医官として在籍し,国際保健医療におけるアイソトープ・放射線技術に係る標準化,IAEA加盟国の標準化されたアイソトープ・放射線技術の導入と持続的利用を支援し,2010年から現在にかけては,IAEAコンサルタントとしてIAEA加盟国に対する引き続きアイソトープ・放射線技術に係る支援を行っている筆者は,平成27年度日本公衆衛生協会地域保健総合推進事業で2018年1 月10日~15日にかけてベトナム社会主義共和国(ベトナム国)の保健医療の状況調査,そしてベトナム国保健省や世界保健機関西太平洋事務局ベトナム国オフィス(World Health Organization Western Pacific Regional Office Viet Nam Office)と同国の保健医療の現状と取り組みに係る意見交換を行うことを目的とした国際協力事業に参加し,IAEAと世界保健機関(World Health Organization,WHO)の国際機関のベトナム国への医療保健の取り組みを理解する機会を得た.<br> IAEAはこれまで,保健医療の分野で各種アイソトープならびに放射線技術の利用を検証し,加盟国へ技術提供を行ってきた.IAEA の活動として核セキュリティ分野の保障措置についてはよく知られているが,保健医療分野での活動は日本ではほとんど知られていない.国連システム下での人々の健康を達成・維持する目標を達成するために保健医療分野をはじめとする非原子力発電分野での原子力技術の平和利用の推進活動がIAEAにより実施されている.IAEAとWHOとの間で,保健医療での支援に係る分野や戦術などの幾つかの点において違いが見られる.しかしながら,多くの加盟国で喫緊の課題となりうるNCDs対応支援についてIAEAが有するアイソトープおよび放射線技術を超える包括的な対応が求められることも少なくない.IAEAはWHOをはじめとする他の国際機関や世界各地にある大学や研究施設などと,より積極的で密接な連携を図り,課題解決に邁進すべきである.

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