宮古島サトウキビ従事者の疼痛に関する疫学調査

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抄録

【はじめに】  宮古島諸島の全人口は約5.1万人で、その中で農業従事者割合は約5000人に及び、サトウキビ農業が主体を成している。運動器疾患の治療を主体とする当クリニックへ、サトウキビ農業に伴う疼痛疾患で受診される患者は少なくない。今回、サトウキビ従事者の疼痛に関する疫学調査を行ったので報告する。 【方法】  2つの方法で疫学調査を行った。第1の方法は、サトウキビ収穫現場でのアンケート調査で、2010年1月4日から同年4月30日にかけて、無作為に聴取を行った。  第2の方法は、同時期に当クリニックへ来院した患者のうち、サトウキビ収穫作業が誘因として起きた疼痛疾患患者を集計、調査した。 【結果】  第1のサトウキビ収穫現場でのアンケート調査では、10歳〜90歳(平均62.1歳)、男性652名、女性353名、計1005名に調査を行った。宮古島諸島サトウキビ従事者の約18%であった。  『疼痛あり』は、全体の66.7%に上った。また、『疼痛あり』と答えた方を部位別に見ると、腰部30.3%、肩27.7%、膝12.7%となった。  第2の疼痛疾患調査では、26歳〜89歳(平均61.3歳)、男性89名、女性72名、計161名で、全外来患者数の約11%であった。  疾患別では、腰部脊柱管狭窄症が21.1%、肩関節周囲炎が17.4%、変形性膝関節症が13.0%であった。   【考察】  第1のアンケート調査結果から、サトウキビ農業は疼痛を惹起しやすい作業と思われた。また、第1、第2の調査結果から特に腰部、肩、膝の疼痛発生率が高かった。  今後は、疼痛発生率の高かった部位に着目したサトウキビ作業の動作分析を行い、疼痛発生機序を明らかにすることで、サトウキビ従事者への予防医学が展開出来るのではないかと考える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205518567552
  • NII論文ID
    130006945054
  • DOI
    10.14879/nnigss.59.0.288.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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