カンガルーケアが及ぼす父親の対児感情の変化

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • -パパカンガルーケアを導入して-

抄録

〈はじめに〉近年母子の早期スキンシップを図り,愛着形<br> 成を促進する目的で,母親にカンガルーケアを行っている<br> 施設が多い。NICU ではパパカンガルーケアを行っている<br> 施設も多い。しかし産科では出生直後におけるパパカンガ<br> ルーケアの研究が少ない。川島は「親へのカンガルーケア<br> は,児を早期にわが子として実感でき,父性意識を高める<br> ケアのひとつである。」と指摘している。<br> そこで今回,パパカンガルーケアを行い,カンガルーケ<br> ア実施前後に父親へ対児感情評定尺度(花沢氏の対児感情<br> 評定尺度)アンケートを実施し,父性意識の変化が立証で<br> きるのではないかと考えた。<br> <br>〈研究目的〉母親のカンガルーケア後に父親にもカンガ<br> ルーケアを行うことで,父親に及ぼす対児感情の変化を明<br> らかにする。<br> <br>〈研究対象〉平成20年7~9月に当院でアブガールスコア<br> 8点以上の正期産児の父親,パパカンガルーケアを実施し<br> た25例と実施していない25例(以下対象群,非対象群とす<br> る)。<br> <br>〈研究方法〉<br> 1)対象群,非対象群25例と対象に,分娩前後に花沢氏の<br> 対児感情評定尺度とアンケートを実施(7~9月)。<br> 2)分析方法は表計算ソフトエクセルを用いてT 検定し,<br> 感想のアンケート集計を実施。<br> <br>〈結論〉カンガルーケアをやりたいと希望する父親が76%<br> と大半であった。アンケートより,小さな身体で命があ<br> り,暖かさを感じた(8名)という感想が一番多く,父親<br> になった自覚を感じている。パパカンガルーケアは子ども<br> との早期接触であり,沐浴などの直接触れる育児行動への<br> 自信につながった。<br> 分娩前後の対児感情評定尺度は,得点差が上昇したこと<br> により,父親が子どもを肯定的に受け入れ,愛着形成を促<br> す手段となった。<br> パパカンガルーケアは育児に意欲的に関わるきっかけと<br> なり,夫婦で育児を協力して行うことにより,夫婦の絆が<br> 深められる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205519392640
  • NII論文ID
    130006945875
  • DOI
    10.14879/nnigss.58.0.263.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ