脂肪肉腫様変化を伴った悪性葉状腫瘍の一例  [in Japanese]

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【はじめに】<BR>乳腺の葉状腫瘍は線維腺腫と類縁の腫瘍で,非上皮性成分である間質と上皮成分である腺成分との混合腫瘍である.線維腺腫よりも線維性間質の増生が強く,しばしば葉状を呈する.間質の細胞密度,細胞異型,腫瘍辺縁の周辺組織への浸潤性により,良性・境界悪性・悪性に分類される.今回,我々は肉腫様変化を伴った悪性葉状腫瘍を経験したので報告する.<BR>【症例】<BR>69歳,女性.数年前より時々胸背部痛を認めていた.心臓カテーテル検査のため,当院循環器内科へ入院した.カテーテル検査を施行した際に,左乳房に手拳大の腫瘤を看護師に指摘され,当院外科を紹介受診した.<BR>腫瘤は可動性で弾性硬,マンモグラフィーでは左乳房下外側に境界明瞭な分葉状の充実性腫瘍を認めた. 超音波画像においては,4.9×1.8×2.4cm大の腫瘤で,境界はほぼ明瞭,分葉状を呈し,内部エコーはほぼ均一であった.その後,細胞診にて"結合組織および上皮性混合腫瘍"を疑い,左乳腺腫瘤切除術が施行された.<BR>【細胞像】<BR>超音波下穿刺吸引細胞診では,軽度核腫大した,結合性が強く大きなシート状の集塊を伴う乳管上皮と,裸核の筋上皮様細胞が散見された.また,背景には軽度の核腫大,類円形核を伴う孤立散在性から小集塊を伴う細胞を認めた.<BR> 【組織像】<BR>摘出された腫瘤の肉眼所見では,境界はほぼ明瞭で,白色から淡褐色調の6.0×5.0×4.0 cmの充実性腫瘤であり,一部は分葉状増殖を示していた.分葉状部分と腫瘤部分とでは組織学的相違がみられたが,境界部では移行像も認められた.<BR>分葉状部分では背景に浮腫状から粘液基質様の変化を伴い,紡錘型腫瘍細胞が増殖していた.核は不整で腫大し,核小体は明瞭であった.腫瘍細胞は部分的に周囲脂肪組織へ浸潤していたが,腺上皮や筋上皮には異型は見られなかった.<BR>腫瘤部分では,上皮成分はほとんど無く,紡錘型腫瘍細胞と血管成分が増殖しており,淡明または泡沫状の豊かな胞体を持つ腫瘍細胞も散見された.核分裂像は双方の部分において2から3個/10HPFであった.<BR>腫瘍細胞の一部はオイルレッドO染色にて陽性であった.免疫組織化学染色において,腫瘍細胞はVimentinに陽性で,S-100蛋白の発現は一部に認められた.このほかにCytokeratin,Desmin,α-Smooth muscle actin,CD34,Factor VIII,CD68,Myoglobin,Skeletal Actinは陰性であった.<BR>以上の所見より,粘液型脂肪肉腫様の変化を伴った悪性葉状腫瘍と診断した.<BR>【結語】<BR>悪性葉状腫瘍においては本症例に見られたような脂肪以外に骨,軟骨,筋肉への分化を示す場合も報告されている.今回の細胞診検査では,異型細胞の採取量が少なく,悪性変化について指摘出来なかった.超音波下穿刺吸引細胞診検査は組織の一部をピンポイントで採取しており,組織診との診断の食い違いがみられることがある.しかし,画像や検査結果を総合的に判断し,腫瘍が大きい場合や内部像の性状が異なる場合は,数箇所穿刺することにより,精度が向上すると考えられる.

Journal

  • Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu

    Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu 54(0), 302-302, 2005

    THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE

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