変形性股関節症による装具の工夫について

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  • 井出 友洋
    AR-ex佐久平整形外科クリニックスポーツ関節鏡センターリハビリテーション科

書誌事項

タイトル別名
  • 既存の股関節サポーターの工夫・JOA変化

抄録

【はじめに】 変形性股関節症に対しての保存療法の希望者に対しての装具などの選択に難渋する経験もあると思います。今回、末期変形性股関節症の症例について、既存の股関節サポーター以外の工夫による除痛の効果を得た2症例について報告する。<BR>【症例1】 70歳女性、平成16年12月7日初診、右変形性股関節症と診断、平成17年10月13日装具採型、股関節機能判定(以下JOA)右44/100点、X線像の評価判定0・20/100点、末期股関節症、同年12月6日痛みの軽減、平成18年2月7日(装具装着117日目)JOA60/100点で、+16点。<BR>【症例2】 75歳女性、平成16年1月28日初診、左変形性股関節症と診断、平成17年10月27日装具採型、JOA35/100点、X線像の評価判定0・20/100点、末期股関節症、同年11月26日痛みの軽減、平成18年2月18日(装具装着114日)JOA左36/100点で、+1点。<BR>【結果】 症例1のJOA変化は疼痛10→20点、立ち上がり・しゃがみこみ・車バス乗り降りが2→4点、計16点増加、症例2のJOA変化は可動域80→50度でー3点、腰掛2→4点、しゃがみこみ0→2点、計1点増加。<BR>【装具内容】 既存の関節サポーターにプラスチックにて股関節前面から後面まで包み、臼蓋への求心力を高められるものをつくり、サポーターに付属させた。<BR>【考察】 JOA判定基準やX線像評価において本2症例は末期股関節症であり、手術適応例であるが、本人希望により、保存療法を試み、痛みの軽減目的で装具療法となった。X線より、大腿骨骨頭変形も著明であり、股関節周囲筋力低下による歩行時痛が有り、歩行時の大腿骨骨頭求心力低下が痛みの原因と考え、これを補助するよう装具を考慮し、股関節の不安定性の減少により、痛みの軽減につながったと考えられる。また、症例1については可動域等の変化はないが、疼痛とADL面の改善が高く、これによる効果は高いと思われる。しかし、症例2においてはJOA変化は少なく、股関節屈曲可動域の減少はあったが、ADL面での改善があることから、今回の装具考案については良好な結果が得られたと思われる。<BR>【まとめ】1.末期変形性股関節症の2症例の装具検討による工夫について。2.装具内容において既存の股関節サポーターにプラスチックを付属させ、 大腿骨骨頭の求心力を高め、股関節の不安定性軽減により痛みの軽減とJOA変化につながったと考えられる。3.今後も既存の装具による工夫により、痛みやADLの改善を図りたい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205525024000
  • NII論文ID
    130006949299
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.25.0.1.0
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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