SuperagonistCD28抗体によるドナー特異的移植免疫寛容誘導

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抄録

【目的】制御性T細胞(regT)は、移植臓器の拒絶反応抑制効果を有する。【方法・結果】SuperagonistCD28(JJ316)抗体を用いたregTの増殖と移植腎に対する効果を検討した。day -3, 0, 3にJJ316を投与し、Wisterをドナー、Lewisをレシピエントとして、day 0に移植腎急性拒絶反応モデルを作製した。Sham ope レシピエント群、mouse mIg投与群(mIg群)に比し、JJ316群ではFACSにて末梢血・脾臓・腎臓のCD4+Foxp3+ regTが著増していることが確認された。移植後7日目の腎組織には浸潤細胞を認めたが、mIg群ではマクロファージが多数を占めていたのに対し、JJ316群では、Foxp3陽性regTの浸潤が多数を占めていた。mIg群では尿細管間質障害を呈し、10日程度で全例死亡したが、JJ316群では尿細管間質障害は極めて軽度であり、術後30, 102日でそれぞれ1匹が死亡したが、残り6匹は120日以上生存し、組織学的にも拒絶反応所見を認めなかった。また、day -3, day+3にそれぞれ1回のみJJ316を投与し、同様の腎移植を行ったところ、移植後7日目の移植腎にはともにFoxp3陽性regTの浸潤を認めたものの、day-3投与群は移植腎の有意な生着延長を認めたが、day+3投与群は、移植腎の生着延長を認めなかったことから、腎移植時にregTを作用させることが必要であることが示唆された。さらに、生存したレシピエントについては、腎移植後120日目に2次移植として、WisterおよびBN(third party)をドナーとした心臓移植を施行したが、初期治療以降は無治療にも関わらずWisterから移植した心臓は生着したが、BNから移植した心臓は拒絶されたことが確認され、JJ316投与によりドナー特異的な免疫寛容が誘導されていることが確認された。【結語】SuperagonistCD28抗体投与による生体内regTの増殖と移植免疫寛容誘導効果は、今後の臓器移植において有用な戦略となりうると考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680501786112
  • NII論文ID
    130006949367
  • DOI
    10.14906/jscisho.35.0.61.0
  • ISSN
    18803296
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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