地方都市の家族経営の再生

DOI
  • 柳井 妙子
    奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程
  • 中山 徹
    奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程

書誌事項

タイトル別名
  • Regenerative policy of family running stores in local city
  • 町屋を活用した村上市の事例

抄録

地方都市の商店街では、車社会や郊外型大型店の出現などによりドーナツ化現象が起きている。現在の社会は消費者の多様なニーズに加え高齢化が進んでおり、地方では事業の後継者がいないまま衰退したまちで商いを営んでいる家族経営が増えている。  個々の店での経営努力も必要であるが、地域をあげて魅力あるまちづくりを行うことが地域全体の活力に繋がると考える。その地域に眠っていた地域資源を住民自らが探し出し、それを起爆剤としながらまちを活性化していくことが、持続可能な社会へと結びついていくと考える。  本研究では、新潟県村上市の中心市街地の商店街における家族経営の個人店主を対象として、地域資源を活用したまちづくりの実践活動が、商店街の各店舗における家族経営商店の再生に果たした役割と意識の変化を聞き取り調査によって解析した。同市では、地域資源を活用した年2回のイベント、2000年から開始した春の「町屋の人形さままつり」、2001年からの秋の「町屋の屏風巡り」を通して、観光客が急速に増加し経済効果が高まり家族経営商店の経営状態の改善に大きく寄与している。現在では、一部の住民の活動に止まらず、地域をあげてのイベントへと発展しつつある。その理由として以下のことが考えられる。_丸1_村上の商店街に残存していた町屋の内部が江戸時代、大正時代、昭和初期時代にタイムスリップしたような日本人の心のふるさとを感じさせるものである。_丸2_それぞれの店舗が所蔵している人形や屏風が歴史、文化を感じさせるものである。_丸3_来訪者の熱い反応が各商店へ伝わり、自分たちの地域への誇り、愛着が生まれる。_丸4_家庭経営ならではの、「もてなしの心」による来訪者への対応が多くのリピーターに結びつく。

収録刊行物

詳細情報

  • CRID
    1390001205558145408
  • NII論文ID
    130006956594
  • DOI
    10.11428/kasei.60.0.143.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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