生活改善のための「因習打破」再考
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- 渡瀬 典子
- 岩手大学 教育学部
書誌事項
- タイトル別名
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- Rethinking of Iconoclastic Movement for Improvement of Daily Lives
- The Turning Point and the Selectivity through the Descriptions in the Home Economics Textbooks and the Magazines
- 家庭科教科書、雑誌に見る転換点と選択性
抄録
<目的>近現代の日本において国民生活の向上を目指した生活運動が様々な場面で登場した。例えば、戦後以降では「新生活運動」、「生活改善普及事業」(1940年代後半)がある。これら運動の共通する目的は、生活改善のため、従来の「慣習・因習」を「打破」することであり、「打破」の理由は「慣習・因習」の「非能率性」「非科学性」「不合理性」であった。 一方、昨今では学校教育で「生活文化の伝承と創造」(高等学校家庭科学習指導要領、2000)が内容項目に挙げられたほか、日本のしきたりに関する本がベストセラーになっている。以上のことから、この50~60年の間に「打破」/「保存」/「打破」→「保存」されてきた慣習(あるいは生活文化)があると推測される。 そこで、本研究では高等学校家庭科教科書、婦人雑誌を手がかりとして、1. 打破/保存の対象となった「慣習・因習」の特徴、2.打破<保存への転換時期、について基礎的データを提示することを目的とする。 <方法>以下の家庭科教科書ならびに雑誌を用いて検討した。ここに挙げた雑誌を選んだのは、(1)当時多くの部数が出ていた、(2)1950年代から現在まで発行され続けている、(3)生活様式に関するオピニオンリーダー誌、という理由である。1.高等学校家庭科教科書(「家庭一般」「家庭総合」)1956~2007年、2.「婦人之友」1950(44巻1号)~2000年(94巻12号)、3.「暮しの手帖」1953(通巻22号)~2000年(通巻303号) <結果>1.当初打破の対象となったのは、非能率的で非科学的、華美、手間がかかる、高費用のもの全般であり、冠婚葬祭、衣服の仕立て、育児法など多岐に渡った。2.70年前後頃まで、「慣習・因習」の打破を髣髴とさせる表現が見られるが、主に50~60年代初めまでに集中していた。
収録刊行物
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- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
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一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60 (0), 285-285, 2008
一般社団法人 日本家政学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205558795904
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- NII論文ID
- 130006957184
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可