噛むチカラで脳を守る

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タイトル別名
  • Involvement of chewing in neurocognition in the elderly

抄録

まもなく超高齢社会を迎えるわが国において、介護支援を必要とする認知症の高齢者は、今後10年間で約100万人増加すると推計されており(厚生労働省調査)、今や認知症対策は最も喫緊に解決すべき課題になっています。  近年、全身健康に果たす口(とくに咀嚼)の役割が科学的に分析されるようになり、咀嚼の働きが栄養摂取だけでなく、認知という脳の最も高次な機能に関わっていることが明らかになってきました。例えば、入院中の高齢者の栄養摂取において、経口から経管や点滴に切り替えると認知症の出現率が高まるといわれています。一方、軽度な認知症状のある寝たきり高齢者の義歯の調節などの口腔環境を改善し、介護の手を借りて経口摂食を積極的に行うことにより、QOLの向上や認知症状の軽減が認められる例が多数報告されています。 一般に高齢になると、眼、耳などの感度が落ち、動きも鈍くなり、意欲がなくなり、若い頃に比べると外部情報量が減少します。これは記憶の中心である海馬や大脳の前頭前野への情報入力が減衰することを意味し、この情報量の減少が著しくなると認知症になり易くなります。高齢になると使われない脳の神経は錆び付き状態になり、最終的には回復不能な萎縮を招きます。 いかに外部情報量を低下させないかが重要でありますが、その鍵の一つは五感のすべてを同時に働かせる口(食事を咀嚼すること)であり、本講演では、この噛むという行為がいかに脳の認知機能と密接に関連し、脳内の神経ネットワーク(特に海馬と前頭前野)を活性化するのかについて、動画をふんだんに使用し分かりやすく解説します。そして講演の最後に、「間違い探しゲーム」を行い、認知機能におけるチューイングの効能を実感していただきます。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205597313024
  • NII論文ID
    130006964456
  • DOI
    10.14832/gsjsdmd.2010s.0.1.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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