空中写真による兵庫県西宮市のセアカゴケグモ生息動向の解析および防除対策の評価

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  • Spctial analysis of redback spider, Latrodectus hasseltii,distribution and evaluation of the control measure in Nishinomiya City, Hyogo Prefecture

抄録

はじめに: 1995年に日本ではじめてセアカゴケグモLatrodectus hasseltiiが大阪で発見されて以来、大阪湾沿岸部から内陸部にかけて急速に生息域は拡大し、西宮市においても2000年10月に大阪湾内埋め立て島の西宮浜で発見された。西宮市ではこの島を定点としてセアカゴケグモの実態調査や駆除を実施してきた。今回はその調査結果をGISで解析し、セアカゴケグモ生息の動向と、その地域差におよぼす開発や管理体制の影響について報告する。方法:西宮市環境衛生課が、側溝のグレーチングなどから捕集したセアカゴケグモを、雌個体大・中・小、雄個体、卵(新古)に分けて暦年・町丁目毎に集計した資料の中から、雌の合計値をセアカゴケグモ数として用いた。西宮浜以外の西宮市については、住民からの通報を受けて現地調査した結果を用いた。GISのソフトウェアとしてはArcGIS 9.1(ESRI, USA)を用い、デジタルマップとして経営ナビライト(パスコ)でアドレスマッチングして、町丁目ごとに年度別に捕集数を棒グラフで示した。国土地理院その他から配布している1996_-_2004年までの西宮浜の約1:10,000から1:30,000空中写真をデジタル化して、環境や開発の変遷、防除法の地域差を検討した。結果:2000年10_-_12月には雌個体および幼体780頭が発見された。その後2001年408、2002年729、2003年857、2004年382、2005年(1-10月) 535頭と捕殺個体数の年変化が大きく、またその地域差が認められた。空中写真判読の結果、捕集数の少ない地域は1995年以前に開発され、市のセアカゴケグモ防除対策の実施地域であった。一方多いところは1999年の写真で高層住宅が判読できるところで、平成12年国勢調査による人口が多く、咬傷のリスクが高い地域であった。考察:セアカゴケグモの広域への分布拡大が懸念されているが、監視体制および防除の方法によっては、咬傷のリスクを低減する可能性が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205621573248
  • NII論文ID
    130006981558
  • DOI
    10.11536/jsmez.58.0.69.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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