身体反応速度と認知機能との関係

DOI
  • 川畑 智
    社会福祉法人 芦北町社会福祉協議会

書誌事項

タイトル別名
  • RTマシンを用いた取り組み

抄録

【目的】<BR>あそびRe(リ)パークは、環境省国立水俣病総合研究センターの介護予防等在宅支援モデル事業を受託し、平成18年度より「ゲーム機」を用いた取り組みを展開している。今回、その事業運営の中で身体反応速度と認知機能との関係性を研究し、一定の知見を得たのでここに報告する。<BR>【方法】<BR>芦北町のグループホーム入所者(認知症群)13名(男2名、女11名平均年齢84.2±6.3歳)と、同町内に在住する一般高齢者56名(男性11名、女性45名、平均年齢76.9±6.2歳)を対象とした。<BR> 認知機能評価として、一般高齢者には、かなひろいテストを実施し、年齢別認知症境界域数値から、健常群51名と認知症疑い群5名の2群に分類した。<BR>また、認知症群には、改訂版長谷川式簡易知能評価スケール(以下、HDS-R)を用いた(HDS-R平均4.7±4.2点)。<BR>これらの3群において、身体反応速度を簡易に点数化できる、株式会社ナムコのリハビリテーションマシン「ワニワニパニックRT」(以下、ワニ叩き)に取り組んでもらい、ゲーム得点と認知機能を比較した。<BR>統計処理は、Bartlett検定で分散の均一性を確認し、一元配置分散分析、多重比較検定(Scheffe法)を用い、各群間の有意差を判定した。なお、全ての統計手法とも、有意水準は1%未満とした。<BR>【結果】<BR>ワニ叩きゲームの得点は、健常群で70.2±11.3点、認知症疑い群で26.8±5.8点、認知症群で22.8±15.1点であった。統計処理の結果、健常群と比べ認知症群ではワニ叩きの得点が有意に低かった(p<0.01)。<BR>また、認知症疑い群においても健常群と比べ、ワニ叩きの得点が有意に低かった(p<0.01)。<BR>これに対し、認知症群と認知症疑い群の比較では、ワニ叩きの得点に有意な差は認められなかった。<BR>【考察】<BR>ワニ叩きは、制限時間内に可能な限り出てくるワニを叩くゲームであり、ワニ出現を瞬時に認知・判断し、叩打反応として適応する動作の反復作業である。<BR>健常群と比べ、認知症群や認知症疑い群において有意に得点が低い結果となったが、この理由として「動作の不活発性」や「注意の集中力減退」などが考えられる。また、ワニ叩きの得点で40点未満の場合、HDS-Rや、かなひろいテストなどのスクリーニングで認知症と疑われる可能性があることも考えられる。<BR>【まとめ】<BR>今回の研究で、身体反応速度と認知機能との関係が明らかとなった。今後は、症例数を増やし、認知症スクリーニングとの関係性や身体反応速度を高めるリハビリテーション手法が認知機能にどれほどの効果を及ぼすかを検証していきたい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680600405632
  • NII論文ID
    130006983940
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2008.0.73.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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