当院における急変時対応とリスク管理について

DOI

抄録

【目的】<BR>当院では昨年度リハビリテーション(以下リハ)介入中において患者急変に伴う救急要請が4件発生した。今回、その要因と緊急時対応をふまえ、リハ介入中におけるリスク管理を検討する。<BR>【方法】<BR>(A)対象期間:平成21年4月~平成22年3月。(B)対象者:リハ室内で急変となり救急要請を行った4症例。(C)検討事例:1)疾患名2)年齢3)既往歴4)急変前の身体状況5)急変発生状況6)救急要請から医師到着時間7)使用器具8)急変の原因、以上をカルテより後方視的に調査した。<BR>【事例検討】<BR>(症例1)1)右大腿骨転子部骨折術後2)91歳3)大動脈弁/僧帽弁/三尖弁閉鎖不全症、肺高血圧、心房細動、ヘ゜ースメーカー植え込み4)歩行器歩行軽介助レベル5)歩行器にて移動中意識消失6)救急要請は対応が遅れ、救急要請と医師到着が同時期。7)血圧計、パルスオキシメーター8)抗不整脈薬の副作用、電解質異常による不整脈。<BR>(症例2)1)変形性腰椎症2)95歳3)腰椎圧迫骨折4)平行棒内歩行中等度介助レベル;数日前より食思不振5)平行棒内歩行中意識レベル低下6)1分7)救急カート、血圧計、パルスオキシメーター、心電図モニター8)脱水<BR>(症例3)1)冠動脈バイパス術後(外来通院中)2)55歳3)脳梗塞4)独歩にて通院可能5)臥位から座位への体動時意識消失6)3分7)症例2と同等物品8)一過性房室ブロック、迷走神経反射疑い<BR>(症例4)1)亜急性硬膜下血腫2)93歳3)高血圧、心房細動4)起立中等度介助:数日前より食思不振5)車椅子座位中意識レベル低下6)1分7)症例2と同等物品8)電解質異常、脱水。<BR>【結果】<BR>4症例中3症例が90歳以上であり、循環器疾患を有していた。4症例中2症例は電解質異常、脱水であり、数日前より食思不振となっていた。症例1以外では医師の到着時間が3分以内と早期対応が可能であった。<BR>【考察】<BR>今回、症例1において急変発生時、対応の不慣れにより時間を要し、必要な器具など確保できないまま救急要請となった。その事例後より、リハスタッフ、他部署との連携を深め、緊急要請における対応を周知徹底を行った。そのため、症例2以降では救急要請での医師到着時間が3分以内と極めて早期対応となり、リハスタッフや院内における救急対応の意識度は改善されたと考える。今回の事例から高齢化社会に伴い、担当する症例は高齢であり、現疾患以外にも他疾患合併の症例が数多く存在する。今回リスク管理を行っていたにも関わらず、急変を起こすような状況に遭遇した。その要因として、高齢者は自覚症状の訴えが曖昧であり、リスク管理を行う上で評価が非常に難しい。そのため、検査データや全身状態など客観的評価をふまえたリスク管理が今後重要であると考える。また、現在の施設基準では心疾患リハビリテーション基準のみにリハビリテーション室への心電図モニターや救急カートの設置を義務付けており、今後リスク管理や急変事態に備え、心電図モニターや救急カートの設置を検討する必要があると考える。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205625320448
  • NII論文ID
    130006985520
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2010.0.326.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ