変異体結晶構造解析による光化学系II複合体におけるPsbYサブユニットの同定

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タイトル別名
  • Location of PsbY in oxygen-evolving photosystem II revealed by mutagenesis and X-ray crystallography

抄録

PsbYは光化学系II 複合体(PSII)の低分子量サブユニットの1つであり、分子量4.7 kDaで1回膜貫通へリックスを持っており、ラン色細菌から高等植物まで高度に保存されている。しかし、これまで報告されたPSIIの結晶構造ではPsbYの存在位置は特定されていない。PsbYの位置を明らかにするため、我々はPsbYを欠失させたThermosynechococcus elongatus変異株からPSIIの精製・結晶化を行い、野生株由来PSIIの電子密度と変異体由来PSIIの電子密度の差フーリエを計算した。得られた差フーリエ図を3.7Å分解能の結晶構造(Kamiya and Shen, 2003, PNAS, 100, 98-103)と重ね合わせた結果、PsbYはPSII二量体の外縁部、シトクロムb-559α, βの近傍に存在する、未同定のヘリックスに対応することが分かった。このヘリックスは3.0Å分解能の結晶構造にも存在し、ヘリックスX2とされていたが (Loll et al., 2005, Nature, 438, 1040-1044)、3.5Åの結晶構造(Ferreira et al., 2004, Science, 303, 1831-1838)では対応するヘリックスが存在せず、この領域が空白になっていた。従って、3.5Åの結晶構造解析において、PsbYが精製の過程で脱落した、あるいは分解能が不十分なため対応するへリックスの電子密度が弱かった、ということが考えられる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680609327616
  • NII論文ID
    130006994394
  • DOI
    10.14841/jspp.2008.0.0324.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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