ラオス中部におけるマカクの分布・生息状況
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- 森光 由樹
- 兵庫県立大・自然・環境研,森林動物研究センター
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- PATHOUMTHONG Sithideth
- National University of Laos, Faculty of Science
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- 濱田 穣
- 京都大・霊長研
書誌事項
- タイトル別名
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- Report on the distribution and present status of macaques in the central area of Laos
抄録
【目的】ラオス人民民主共和国には,5種のマカク(アカゲザル,ベニガオザル,カニクイザル,アッサムザル,ブタオザル)の生息が確認されている(Fooden, 1995)。しかし,ラオス中部のマカクの分布の詳細はよくわかっていない。現地,聞き取り調査,踏査を実施しマカクの分布を明らかにする。<br>【方法】Vientianeから東へ,Bolikhamxai県,Khammouan県で各集落聞き取り調査を実施した。聞き取り調査は,種の特徴が示されているラオス語の解説入りの写真を見せて,正確な種判定を目指した。また,情報の精度をあげるため1集落,複数人(4~5人)を基本に聞き取りを実施した。<br> 聞き取り内容は,生息確認および,農業被害の有無,被害作物の種類,防除方法などについて情報を収集した。また,集落で飼育しているサル(ペット)を捜索し,捕獲場所を記録した。Nakai-Nam Theun公園(NBCA)については,森林監督官およびWCS職員から情報収集した。<br>【結果および考察】63地点において,聞き取り調査を実施した。その結果,4種のマカク(アカゲザル,ベニガオザル,アッサムザル,ブタオザル)の情報を収集した。しかし,Nakai-Taiでは,大規模なダム建設が実施されており,この地域でのサルで情報は無かった。<br> また,カニクイザルの群れの生息情報が,Vientiane から東約50 kmで認められた。カニクイザルの生息情報は繁殖飼育施設から逃げ出した個体が野生化したものだった。マカクの情報のあった地域のほとんどで農業被害が認められた。被害作物は米,次にトウモロコシが多かった。被害防除は,銃器による捕殺がほとんどであった。ラオス国内では,トラやゾウと比べるとマカクの調査や保護管理が遅れているのが現状である。今後の課題である。
収録刊行物
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- 霊長類研究 Supplement
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霊長類研究 Supplement 25 (0), 33-33, 2009
日本霊長類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680611937536
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- NII論文ID
- 130006997719
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可