ベニガオザルの表情に観察される発話相同な周期的運動  [in Japanese] Speech-like orofacial oscillations in stump-tailed macaque (Macaca arctoides) facial and vocal signals  [in Japanese]

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Abstract

<p>発話はヒトにしか見られない発声運動動作であり,唇や舌,喉頭などの発声器官の迅速な規則的周期運動によって特徴づけられる。とりわけ,唇が開閉する周期的運動は,あらゆる言語圏に共通しておおよそ5Hz程度になることが知られており,発話動作の共通基盤として顔面動作を周期的に発振する中枢パターン発生機の存在が示唆されている。近年の研究によれば,マカクザルなど様々な真猿類のリップスマッキングに見られる発振動作は5Hzと類似しており,さらに発話運動と共通する運動神経基盤が確認されたことから,発話運動の前駆体候補として脚光を浴びている。今回我々は,リップスマッキング・発話前駆体仮説に基づいて,タイに生息する野生ベニガオザルの種特異的な表情(Teeth chattering)と発声(panting)について,類似するような5Hzの発振動作が確認出来るかどうか検討した。野外観察と動作解析を実施し,運動の開始時間を計測し,5周期あるいは10周期にわたる顎の開閉動作やパルス様の短発声の区間間隔を計測した結果,Teeth chatteringとpantingともに5Hz程度の周期を示した。ニホンザルなどのリップスマッキング動作の特徴である唇の突出が確認できないにも関わらず,他の動作も類似して発振することから,ベニガオザルやニホンザル,ヒトの共通祖先で顔面動作が5Hzに発振する共通基盤を獲得しており,その動作基盤が種それぞれにおいてTeeth chatteringやリップスマッキング,発話というコミュニケーションの信号として変容していった進化史が推察され,リップスマッキング・発話前駆体仮説を補強する証拠と考えられた。</p>

Journal

  • Primate Research Supplement

    Primate Research Supplement 33(0), 34-35, 2017

    Primate Society of Japan

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