APサイト及びこれを含むクラスターDNA損傷収率の放射線線質およびLET依存性

DOI
  • 椎名 卓也
    茨城大学大学院 理工学研究科 日本原子力開発機構 先端基礎研究センター
  • 菅谷 雄基
    茨城大学大学院 理工学研究科 日本原子力開発機構 先端基礎研究センター
  • 白石 伊世
    茨城大学大学院 理工学研究科 日本原子力開発機構 先端基礎研究センター
  • 渡邉 立子
    日本原子力開発機構 先端基礎研究センター 日本原子力開発機構 放射線影響解析グループ
  • 横谷 明徳
    日本原子力開発機構 先端基礎研究センター
  • 鶴岡 千鶴
    放射線医学総合研究所 粒子線生物研究グループ
  • 鈴木 雅雄
    放射線医学総合研究所 粒子線生物研究グループ

書誌事項

タイトル別名
  • Dependence of the yields of AP sites and AP clusters produced in pUC18 plasmid DNA on scavenging capacity and radiation quality and LET

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抄録

本研究では電離放射線によって生じるDNA損傷のうちAPサイト(脱塩基部位)に着目し、難修復性のクラスターDNA損傷を構成する要素としてのAPサイトの収率の放射線の線質および依存性を明らかにすることを目的としている。Sutherland等(2002)は、X線が照射されたヒト細胞中に生じるAPサイトを含むクラスターDNA損傷(数ヘリカルターン以内に2個以上の損傷が生じる複雑な損傷形態)が、ピリミジン塩基あるいはプリン塩基の損傷を含むクラスター損傷と同程度の収率で生成すると報告している。しかし、より難修復性のクラスターDNA損傷が生じると考えられる重粒子線照射に関する知見はほとんどない。さらにAPサイトが他の損傷とクラスターを構成することでその後の修復過程に大きく影響することが、多くの合成クラスター損傷を含むオリゴヌクレオチドを用いた実験により明らかにされつつある。我々は、スキャベンジャー濃度を様々に変えたプラスミドDNAを試料として用い、これに異なる線質および異なるLETの放射線を照射した際に生じるAPサイトとこれを含むクラスターDNA損傷の収率の違いを調べている。APサイトは、AP lyase のひとつである大腸菌由来のEndoculeaseIV (Nfo)で処理することで、鎖切断として検出した。試料中のスキャベンジャー濃度を変えることで、APサイト生成に果たす直接効果と間接効果の違いについても調べた。その結果、線質およびLETの違いによってNfo認識サイトの収率に差が見られた。本講演では、X線及びHIMACから得られる炭素イオンビーム(290MeV/nucleon, LET 13, 60keV/μm)の照射により生じるAPサイト及びこれを含むクラスターDNA損傷の生成過程について、鎖切断や塩基損傷の収率に関するデータと比較しながら議論する。

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