福島県内での災害派遣における医療従事者の線量評価

DOI
  • 吉田 浩二
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科国際保健医療福祉学研究分野
  • 林田 直美
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科国際保健医療福祉学研究分野
  • 橋口 香菜美
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科国際保健医療福祉学研究分野
  • 森田 直子
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科アイソトープ診断治療学研究分野
  • 工藤 崇
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科アイソトープ診断治療学研究分野
  • 松田 尚樹
    長崎大学先導生命科学研究支援センター
  • 山下 俊一
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線災害医療学研究分野 福島県立医科大学
  • 高村 昇
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科国際保健医療福祉学研究分野

書誌事項

タイトル別名
  • The radiation dose evaluation in health care worker of disaster relief team for Fukushima prefecture

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抄録

背景と目的:東日本大震災発生後、福島第一原子力発電所1号機で水素爆発があり、放射能が環境中に放出された。その後、日本各地ではモニタリングポストで測定された空間線量率が公開され、それに基づいて計算された年間の積算線量によって人体への影響についての議論がなされている。我々長崎大学は、震災後より二次被ばく医療機関の構築と環境モニタリングを主な活動目的として、福島県への災害派遣を行ってきた。活動拠点である福島県立医科大学病院は県内でも比較的線量が高い福島市に位置している。今回、福島市役所で測定された空間線量率と派遣中に測定した外部被ばく線量とを比較したので、派遣終了後に長崎大学で測定した内部被ばく線量結果も併せて報告する。 方法:福島県立医科大学で派遣活動を行った長崎大学病院の医師、看護師、診療放射線技師のうち、研究について同意が得られた7名(20データ)を対象とした。各派遣期間中の外部被ばく線量を個人線量計で測定し、同期間中に福島市役所で測定された空間線量率と比較した。対象者からは作業内容、活動場所などの行動記録を聴取した。  結果:対象者は3月15日から7月27日までの期間にそれぞれ5日間から13日間の派遣活動を行っていた。期間中の空間線量率は、最大で3月18日に12.34μSv/h、最小で7月23日の0.94μSv/hであったが、対象者の外部被ばく線量は最大でも1.63μSv/h、最小は0.08μSv/hであった。全ての対象者において、実際に受けた外部被ばく線量は公開された空間線量率より低くなっていた。複数回の派遣活動を行った2名の医療従事者の内部被ばく線量を測定した結果、震災当初では131Iや137Csが検出されたが、複数回の派遣後には検出限界以下となっていた。  結語:今回の調査からも人体が受ける外部被ばく線量と空間線量率との乖離は明らかであり、被ばくについての正しい理解と議論が必要である。

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