クラスターDNA損傷に対する塩基除去修復酵素の作用順序の効果_II_

DOI
  • 白石 伊世
    茨城大学大学院 理工学研究科 日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター
  • 椎名 卓也
    茨城大学大学院 理工学研究科 日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター
  • 菅谷 雄基
    茨城大学大学院 理工学研究科 日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター
  • 鹿園 直哉
    日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター 日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門
  • 横谷 明徳
    日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Order effect of base excision processes to repair clustered DNA damage.

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抄録

複数の損傷がDNAの1~2ヘリカルターンの領域に局在化したクラスターDNA損傷は、突然変異などの生物影響を引き起こす主要な原因の一つであるとされている。クラスター損傷は、SSBや塩基損傷、APサイトなどから構成されるため、これらに対する細胞応答において異なる修復系が同時にあるいは逐次的に関与することが予測される。最初に作用する修復タンパク質によりクラスター損傷の性質が変化するため、作用する修復系の順序がその後の生物応答に大きな違いをもたらす可能性がある。例えば二つの塩基損傷からなるクラスター損傷のうちの一方の損傷が、これを認識・除去する塩基除去修復酵素(グリコシレース)により除去されると、SSBと塩基損傷からなる新しいクラスター損傷に変化するため、クラスター損傷内に残った塩基損傷に対するグリコシレースの修復活性が大きく変わる可能性がある。本研究では、クラスターDNA損傷に対する塩基除去修復酵素の作用機序の違いがクラスターDNA損傷の難修復特性にどのように関わるかを明らかにすることを目的とした。高LETのイオンビームを照射したプラスミドDNA(pUC18)をNthとFpgの2種類のグリコシレースで処理し、酵素活性を生じたニック(SSB)量としてpUC18の立体構造変化としてゲル電気泳動法により定量した。この際、2種類の酵素の処理の順番を様々に変えた時に、ニッキング活性にどのような差が見られるのかについて調べた。C6+イオンビームを照射した場合はFpgを先に処理したものの方が、同時処理やNthを先に処理したものより損傷を持たない閉環型分子の線量当たりの残存量が約5%小さい傾向にあった。講演では収量の差をもたらす原因としてのクラスター損傷の構造について議論する。

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