DNA二重鎖切断修復におけるNBS1とATMの役割

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  • Homologous recombination repair is regulated by domains at the N- and C-terminus of NBS1 and is dissociated with ATM functions

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抄録

DNA二重鎖切断の修復には、非相同末端結合(Non-Homologous End Joining: NHEJ)と相同組換え(Homologous Recombination: HR)の少なくとも二つの経路がある。我々はNBS1のHRにおける機能的役割やATM、MRE11との関連性について解明すべく、様々なNBS1変異体を作製し、それらのHR活性をDR-GFPとSCneoアッセイにより解析した。その結果、C末端に存在するMRE11との結合ドメインを欠失した変異体はHR活性を全く回復できず、N末端領域のFHAまたはBRCTドメインの変異体もほとんどHR活性を回復することが出来なかった。これら変異体のHR活性の欠失は、損傷部位におけるMRE11のフォーカス形成の異常と一致する。対照的に、ATMからリン酸化を受けるセリン残基の変異体と、ATMとの結合ドメインを欠失した変異体はHR頻度にほとんど影響を与えなかった。これはATMそれ自体と、NBS1のATM結合ドメインはイントラS期チェックポイント調節に必須であるが、ATMの欠損によりDSB損傷時のHR修復が減少しないという結果からも確認できる。つまりNBS1は細胞周期チェックポイント調節においてATMと協調して働くが、HR修復においてはそうではないということである。これらの結果は、NBS1のN末端とC末端のドメインがMRE11ヌクレアーゼをDSB部位へリクルートし、その部位に維持することによりHR経路を活性化しおり、それはATM非依存的であることを示している。さらにAT細胞ではNHEJの割合が低下していることを示した。このことからATMがNHEJ経路に重要な役割を果たしていることが示唆される。

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