トキシコゲノミクスによる薬剤誘発性腎尿細管障害の評価マーカーの探索

DOI
  • 上原 健城
    塩野義製薬株式会社 新薬研究所 安全性研究部門
  • 箕輪 洋介
    (独)医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト
  • 近藤 千晶
    塩野義製薬株式会社 新薬研究所 安全性研究部門
  • 中津 則之
    (独)医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト
  • 奥野 恭史
    京都大学 薬学研究科寄附講座 システム創薬科学
  • 小野 敦
    国立医薬品食品衛生研究所 総合評価研究室
  • 五十嵐 芳暢
    (独)医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト
  • 丸山 敏之
    塩野義製薬株式会社 新薬研究所 安全性研究部門
  • 加藤 育雄
    塩野義製薬株式会社 新薬研究所 安全性研究部門
  • 山田 弘
    (独)医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト
  • 大野 泰雄
    国立医薬品食品衛生研究所
  • 漆谷 徹郎
    同志社女子大学薬学部病態生理学

書誌事項

タイトル別名
  • Identification of genomic biomarker candidates for concurrent diagnosis of drug-induced renal tubular injury

抄録

薬剤誘発性腎障害は,創薬において最も注意すべき副作用の一つである.従って,創薬研究の初期段階に,医薬品候補化合物の腎障害誘発リスクをいち早く見極め,腎毒性リスクのない化合物を効率的に選び出すことが肝要である.今回,トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクトにおいて構築された大規模トキシコゲノミクスデータベース(TG-GATEs)を使用して,薬剤誘発性腎尿細管障害の診断マーカーの探索を実施した.【方法】6週齢の雄ラットに,薬剤(低,中,高用量)を1日1回,最長28日間反復投与し,投与開始後,4,8,15,29日目に屠殺して腎臓を採取した.腎臓の病理検査を実施すると共に,網羅的遺伝子発現解析を実施した.【結果及び考察】病理組織検査の結果に基づき,反復投与により尿細管障害が認められる21化合物の高用量群サンプルを正例,障害の認められない41化合物の低用量群サンプル及び腎毒性の陰性対照である8化合物の高用量群サンプルを負例とし,filter-typeの遺伝子選択法を適用してマーカー候補遺伝子(feature gene)を抽出した後,これを用いて線形判別器を構築した.5-fold cross validationによる判別精度検証を実施した結果,偽陽性率が約10%のとき,検出力は90%となった.次に,学習に用いなかった高用量,中用量群サンプルをテストセットとして構築した判別器を適用し,毒性予測を行った.その結果,多くの化合物において,病理変化が見られる時間よりも早い時点,あるいは,低い用量で毒性を検出できた.以上,今回構築した腎毒性の判別モデルは,薬剤誘発性腎障害の有無を高感度に検出する有用な手段になり得ると考えられた.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205657519744
  • NII論文ID
    130007002843
  • DOI
    10.14869/toxp.36.0.4122.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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