発がんプロモーション試験によるナノ粒子のがん原性早期検出の試み
書誌事項
- タイトル別名
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- Proposal of a medium-term assay system for evaluation of the carcinogenicity of nanoparticles
抄録
ナノ粒子にはIARC/WHOではGroup2B(ヒト発癌物質の可能性あり)と評価されているものもある。癌原性リスク試験は必須であるが、吸入曝露による発がん試験には長期間と高価な設備を要する。そのために専用の設備を要しない投与法によって、発がんプロモーション作用を指標として比較的短期に癌原性を評価する試験法開発を試みた。1)肺・乳腺発がんプロモーション試験:乳腺発がん高感受性雌ヒト正常型Ha-ras遺伝子トランスジェニックラット(Tg)を用い、ニトロサミンのDHPN飲水投与(イニシエーション)後にTiO2(ルチル型、500および250ppm/生食懸濁)を2週に1度肺内に噴霧投与して16週で終了した。TiO2は肺以外に脳、リンパ節、乳腺等に検出された。肺と遠隔の乳腺腫の発生にプロモーション作用が示された。同様のプロモーション検索法で、通常ラットにおけるフラーレンC60(500および250ppm/ショ糖分散液)の肺内噴霧実験に貪食された凝集体の沈着と慢性炎症反応がみられた。2)皮膚:高感受性Tgラットを用い、TiO2の皮膚発がんプロモーション作用を検索した。7,12-dimethylbenz[a]anthracene (DMBA、2.5mg/ml、アセトン溶解)を1回塗布の1週後よりTiO2を100mg/pentalan 1mlに懸濁分散させ、0.5mlを週2または1回3x3cmの剃毛背部皮膚に塗布し28週で終了した。以上の手法を用いることにより皮膚腫瘍の発生においてはプロモーション作用を検出することが示され、ナノ粒子について肺吸入と皮膚塗布による発がんプロモーション試験法が癌原性の早期検出系として有用であることが示された。(厚生労働科学研究費補助金H18-化学-一般-007及びH19-化学-一般-006による)
収録刊行物
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- 日本トキシコロジー学会学術年会
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日本トキシコロジー学会学術年会 35 (0), 31-31, 2008
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680634646912
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- NII論文ID
- 130007003121
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可