β-ナフトフラボンによるラット肝発癌促進過程において発現変動が認められる薬物代謝酵素・細胞増殖関連分子の発現局在について
書誌事項
- タイトル別名
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- Molecular expression analysis of drug metabolizing enzymes and cell cycle-related genes fluctuated during beta-naphthoflavone-induced tumor promotion in rats liver
抄録
[目的]β-naphthoflavone (BNF) は、AhR agonist活性を有するCYP1A誘導剤であり、Ames試験陰性の非遺伝毒性肝発癌物質であることが知られている。既に我々は、BNFの発癌促進過程における薬物代謝酵素・細胞増殖関連遺伝子の発現変動を確認しているが、それらの分子の腫瘍形成への関与については不明である。そこで今回、ラット二段階肝発癌モデルにおいてBNFを投与して腫瘍性病変を形成させた肝臓を用い、これらの遺伝子産物の発現局在を解析した。[方法]6週齢の雄性F344/NラットにDENを単回腹腔内投与し、投与2週間後からBNFを1%の用量で28週間混餌投与した。対照群には基礎飼料のみを与えた。BNF投与1週間後には2/3肝部分切除を施した。投与終了後に肝臓を採取し、免疫組織化学的解析を中心に解析を実施した。[結果]BNF投与により前がん病変マーカーであるGST-P陽性細胞巣の有意な増加が見られ、投与全例に肝細胞腺腫の発生が認められた。BNF投与群では、酵素誘導に起因したCYP1A1、CYP1B1の発現上昇が認められたが、一方で誘発されたGST-P陽性細胞巣の一部及び腺腫では著しい発現低下が観察された。また、BNFの代謝過程において生じる酸化的ストレスにより発現誘導されると考えられるNrf2誘導性抗酸化酵素 (AFAR、GPX2等) は、GST-P陽性細胞巣においてより強い発現上昇が認められた。更に、BNFで誘発されたGST-P陽性細胞巣の一部及び腺腫では、細胞増殖抑制因子p21の発現低下と共に、PCNA陽性細胞数の増加が確認された。[考察]以上の結果から、BNF誘発肝細胞変異巣・腺腫では、レドックスバランスの変化とともに、細胞増殖関連分子の発現調節に変調を来たしている可能性が示唆された。本発表では部位特異的な遺伝子発現変動の解析結果も併せて報告する。
収録刊行物
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- 日本トキシコロジー学会学術年会
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日本トキシコロジー学会学術年会 35 (0), 76-76, 2008
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680634997376
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- NII論文ID
- 130007003378
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可