メタボノミクス解析によるEthylene Glycol Monomethyl Ether (EGME)誘発ラット 精巣毒性の発症機序とバイオマーカーの探索
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- 安藤 洋介
- 第一三共(株)安全性研究所
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- 武井 誠
- 第一三共(株)薬物動態研究所
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- 齊藤 航
- 第一三共(株)安全性研究所
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- 谷本 友恵
- 第一三共(株)安全性研究所
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- 清澤 直樹
- 第一三共(株)安全性研究所
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- 眞鍋 淳
- 第一三共(株)プロジェクト推進部
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- 三分一所 厚司
- 第一三共(株)安全性研究所
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- 岩渕 晴男
- 第一三共(株)薬物動態研究所
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- Klaus-Peter ADAM
- Metabolon, Inc.
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- Michael V. MILBURN
- Metabolon, Inc.
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- Lining GUO
- Metabolon, Inc.
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- 矢本 敬
- 第一三共(株)安全性研究所
書誌事項
- タイトル別名
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- Investigation of mechanism and biomarkers on testicular toxicity of the rat treated with ethylene glycol monomethyl ether (EGME) by metabonomic analysis
抄録
【目的】医薬品開発でしばしば生じる問題として精巣毒性があるが,細胞の多様性と種々のホルモンの影響からその発症機序は不明なこ とが多く,毒性評価は容易ではない。そのため,精巣毒性の評価に発症機序に基づいた適切なバイオマーカーが望まれる。本研究では, ヒトや実験動物において精巣などの細胞分裂や代謝が盛んな組織で毒性を発現するEGMEに関して,メタボノミクス解析によりラット 精巣毒性の発症機序とバイオマーカーの探索を試みた。【材料と方法】EGMEを30,100 mg/kg/dayで1,4,14日間反復経口投与した 雄性F344ラットから血清,24時間尿,精巣,肝臓を採取し,UPLC-MSとGC-MSにより内因性代謝物の変動を解析した。また,精巣, 精巣上体,肝,腎,胸腺の病理組織学的検査を実施した。【結果と考察】病理組織学的には,100 mg/kg群のDay 14においてのみ,精 巣で分裂期精母細胞の単細胞壊死,円形または伸長精子細胞と精母細胞の減少が,精巣上体で精子数の減少が認められた。メタボノミ クス解析では,主にアミノ酸代謝あるいは脂肪酸β酸化に由来するザルコシン,ジメチルグリシン,種々のカルニチン,グリシン抱合 代謝物の変動が,精巣で組織変化が発現するよりも早期から,または組織変化のない30mg/kgにおいても認められた。代謝パスウェイ 解析の結果,電子伝達フラビン蛋白質を補因子としたフラビン蛋白質脱水素酵素群による触媒反応が代謝物の変動に共通して関与する ことが判明した。また,この触媒反応を欠如したヒト遺伝性疾患である多種アシルCoA脱水素酵素欠損症においても本研究の結果によ く類似した血清と尿中の代謝物プロファイルが報告されている。これらのことから,フラビン蛋白質脱水素酵素群が関与する代謝パス ウェイの阻害がEGMEにより誘発される精巣毒性の発症機序であり,その下流で変動する代謝物は精巣毒性を予測あるいは診断するバ イオマーカーになり得ると考えられる。
収録刊行物
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- 日本トキシコロジー学会学術年会
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日本トキシコロジー学会学術年会 37 (0), 253-253, 2010
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205658882560
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- NII論文ID
- 130007003791
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可