マウスES細胞を用いた神経系分化系におけるメチル水銀の毒性影響評価

DOI
  • 何 小明
    東大医学部・疾患生命工学センター・健康環境医工学部門
  • 永野 麗子
    国立環境研究所・環境リスク研究センター・健康リスク評価研究室
  • 赤沼 宏美
    国立環境研究所・環境リスク研究センター・健康リスク評価研究室
  • 座波 ひろ子
    国立環境研究所・環境リスク研究センター・健康リスク評価研究室
  • 遠山 千春
    東大医学部・疾患生命工学センター・健康環境医工学部門
  • 曽根 秀子
    国立環境研究所・環境リスク研究センター・健康リスク評価研究室
  • 大迫 誠一郎
    東大医学部・疾患生命工学センター・健康環境医工学部門

書誌事項

タイトル別名
  • Valuation of effect of methylmercury on the neural differentiation using mouse embryonic stem cells (ESCs)

抄録

メチル水銀(MeHg)は,胎生期の神経発達に影響を及ぼすことが知られている。本研究では,MeHg曝露による神経細胞分化への影響を, マウス胚性幹細胞(ES細胞)から神経細胞を誘導する三次元培養法を利用して検討した。MEF上で大量培養したES細胞(B6GFP)をマ イクロデバイス上に播種し,均一な胚葉体(EB)を形成させた。このEBをオルニチン・ラミニンコート上に再び播種し,神経誘導培地 にて神経分化を誘導させた。MeHg(0, 1, 10, 100 nM; 0.01% DMSO)は神経誘導培地に交換後の3日目から12日間曝露した。曝露 後12日目に,RNAを回収,あるいはMAP2の免役染色を施した。リアルタイムPCRによりニューロンマーカーであるMAP2の発現量 を測定したところ,用量依存的発現レベルの減少が確認できた。また,マルチチャンネル画像解析装置による形態解析を行ったところ, MeHg 100 nMの曝露群においては,全細胞数,MAP2陽性細胞数,MAP2陽性のニューロスフィア(NS)の数,神経突起の長さ,神 経突起の分岐点の数すべてにおいて,コントロール群に対して12.3%, 12.5%, 14.7%, 11.6%および16.9%に減少していた。これ らのことよりメチル水銀は,マウスES細胞の神経分化培養系においても,神経細胞増殖及び分化を抑制することが分かった。本研究 で示した我々の独自プロトコールは,神経細胞の発達に及ぼすMeHgの毒性評価において有用であることが示された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680635984128
  • NII論文ID
    130007004089
  • DOI
    10.14869/toxp.37.0.126.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ