PCR-DGGE法による竹材分解菌の解析

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タイトル別名
  • PCR-DGGE analysis of mycoflora in degrading bamboo

抄録

竹材を効率的に分解する真菌を探索するため,竹材の腐朽過程における自然界での真菌の遷移を分子生態学的に解析した.竹ペレットをメッシュバッグに詰めたトラップを石川県金沢市のモウソウチク林2地点林内地上に設置し,一ヶ月おきにサンプルの一部を回収した.回収したペレットから,全DNAを抽出するとともに,常法に従って糸状菌の分離を試みた.ペレットから抽出したDNAは,真菌の18S rDNAを標的としたプライマーを用いてPCR増幅をおこない,変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)法によって解析した.DGGE解析によるDNAバンドパターンの質的・量的変化から,腐朽竹材中の真菌の種数や量が遷移しているということが示された.この中で優占すると考えられたバンドの塩基配列を解読してデータベース検索をした.その結果,子のう菌フンタマカビ網のConiochaeta属菌,Carpoligna属菌,Kionochaeta属菌,Pyrenomyxa属菌などが優占種としてあげられた.また,担子菌としては,シビレタケ属(Psilocybe)の2種が見いだされた.なお,既往の研究によりConiochaeta属菌はリグノセルロース分解能を有すること,Psilocybe属菌は白色腐朽性であることが示されている.今回のDGGE解析の結果からは,子のう菌の数種が竹材の腐朽過程で優占し,竹材の分解に主要な役割を果たしていることが示唆された.すなわち,野外での竹材分解菌としては子のう菌類の腐朽菌に注目する必要がある.一方,分離培養法では,Carpoligna属菌など一部の優占種は得られなかった.今後,DGGE解析によって明らかとなった腐朽竹材における優占種と分離菌株との対応をすすめ,それらの菌の竹材分解能の比較実験をおこなう.

収録刊行物

詳細情報

  • CRID
    1390282680638101760
  • NII論文ID
    130007004853
  • DOI
    10.11556/msj7abst.55.0.25.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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