生存率と増殖率は格子モデル上の進化動態に異なった影響を与えるー利他的罰の進化を例にー

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タイトル別名
  • The evolution of altruism by costly punishment in the lattice structured population: score-dependent viability versus score-dependent fertility.

抄録

格子モデルなど空間構造のある集団では隣接個体との相互作用をしやすいために同じ戦略でかたまる傾向がある。そのためグループセレクションや血縁淘汰が生じやすくなり、血縁関係のない場合でも利他行動は進化しやすくなることが分かっている。一方、相手の適応度を下げるために自らの適応度も下げるスパイト行動の進化も空間構造によって促進されることが分かっている。この逆説を調べるため、非協力者への罰行動(スパイト行動と類似)と協力行動の共進化に関する研究を例に、格子モデル上での得点依存生存率モデルと得点依存増殖率モデルの2つを比較した。得点依存増殖率モデルでは相互作用による利得を増殖率に反映させると仮定している。このモデルの場合、協力による利益が大きく、罰の影響(罰金)が大きいと協力が進化するという結果になった。一方、相互作用による利得を生存率に反映させるモデルである得点依存生存率モデルでは、罰金が大きいと協力は進化するが、協力による利益にはよらない結果となった。生存率や増殖率は適応度に含まれているためこの2つの違いが格子上での進化動態に異なった影響を及ぼすとは考えられていなかったが、本研究では適応度の定義によって進化動態が大きく異なる事を示した。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205688767616
  • NII論文ID
    130007009514
  • DOI
    10.14848/esj.esj52.0.167.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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