高知県物部川における標識放流ウナギの個体群過程
書誌事項
- タイトル別名
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- Population processes of marked eels stocked into River Monobe, Kochi prefecture
抄録
[目的] ウナギ資源は減少傾向にある。放流した標識ウナギの生残、成長や分布などの個体群過程を明らかにすることを通じてウナギ資源の回復方策を検討したい。<br>[方法] 養殖された当歳ウナギ(体長34cm、体重29.5g)の右胸鰭を切除して、高知県物部川河口から上流約3km地点で2000年5月19日に、7977尾放流した。河口から堰まで約7kmの流域において、木製トラップを6カ所に設置し、再捕を試みた。石倉漁業などの漁獲情報も活用した。調査は2000年5月から2003年12月まで実施された。<br>[結果] 標識ウナギの年間再捕尾数は、00年以降、94、46、19、21で、再捕尾数の総漁獲尾数に対する割合(%)は、8.5、7.5、2.6、2.6であった。瞬間減少率は、おおよそ0.5であった。放流地点より上流での年間総ウナギ漁獲割合は、00年以降、57.2から70.2%で、上流域でより多く漁獲された。標識ウナギでは、31.6から52.4%で、下流域に多く分布する傾向にあった。ウナギの全長範囲は、3年間で、28.9_-_40.5cmから36.4-51.3cm変化し、平均で8.4cm伸張した。肥満度指数の変動幅は大きいが、年々増加傾向にあった。自然順化と解釈できる体色の黄化割合は、00年以降、45.7から90.0%にまで年々増加した。雌の割合は00年以降、5.3から95.0%まで年々増加した。<br>[討論] 放流ウナギは少なくとも4年間定着し、生残することが確認された。放流後、成長が進み、肥満度が高くなり、体色が黄化することから、生活場所の確保や天然餌資源の利用ができることなど生活が自然順化していくと思われる。当歳ウナギ(クロコ)の放流によりウナギ資源への添加が期待されるが、生残率や成長率を高めるためには、ウナギの住める水域環境を回復させなくてはならない。
収録刊行物
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- 日本生態学会大会講演要旨集
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日本生態学会大会講演要旨集 ESJ51 (0), 766-766, 2004
日本生態学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205689511936
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- NII論文ID
- 130007010411
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可