保全における最適調査努力の数理的研究:確率的ダイナミックプログラミングによって保全期間長の影響を知る

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タイトル別名
  • Multiple-year optimization of conservation effort and monitoring effort for a fluctuating population.

抄録

絶滅の危険のある個体群に対して保全政策を考えるとき、環境変動による生存率の変動、個体数などの不確実性に対処していかなければならない。本研究では、このような不確実な状況下で、最適な保全政策について数理モデルを用いて考察を行った。生存率に確率的なノイズが加わる個体群について、最適な調査努力量と保全努力量を考える。保全努力量を増やせば絶滅リスクは減らせる。また、個体数調査にコストをかければより正確な個体数を把握できるため、より効率的な保全を行うことができる。そこで、絶滅リスクと調査努力・保全努力の経済的なコストの和を全コストと定義し、これを最小にするような最適調査努力・保全努力量を数値的に求めた。<br> 複数年にわたって個体群の保全を考える場合、個体数調査によって得られた知識は翌年以降も役立つ。何年間にわたって保全を行うかという保全期間の長さの違いにより、最適調査努力量がどのように影響するのかを確率的ダイナミックプログラミングにより明らかにした。その結果、環境変動が小さい場合には、保全期間が長いほど調査努力を投資するのが最適であるという結果が得られた。しかし、環境変動が大きい場合には保全期間が長すぎる場合には、逆に最適調査努力は小さくなった。また、個体数に関する知識の違いによって最適保全努力量がどのように異なるのかを示す。<br>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680666303744
  • NII論文ID
    130007010558
  • DOI
    10.14848/esj.esj51.0.728.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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