有限集団における協力の進化:1/3則

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タイトル別名
  • A 1/3 law for the evolution of cooperation in finite populations

抄録

協力の進化を有限集団における反復囚人のジレンマゲームで解析する。反復囚人のジレンマゲームにおいて、ゲームの反復回数が十分大きければしっぺ返し(TFT)と裏切り(all-D)はともに進化的に安定になる。無限集団サイズの進化動態ではTFTとall-Dは双安定となり、一方が多数を占めると他方は侵入できない。このような双安定なゲームの進化動態を有限集団で考え、all-Dの集団に1個体だけで生じたTFT突然変異が集団に固定する確率を拡散近似により求める。この固定確率が中立遺伝子の固定確率よりも大きくなる、つまり協力が実質的なダーウィン進化によって広がるための条件は、頻度依存淘汰の閾値頻度(両戦略の適応度が等しくなる頻度)が1/3以下になることである(協力進化のための1/3則)。つまり、突然変異で生じたばかりのときは少数者不利の自然淘汰にさらされる戦略も、頻度が1/3に達する前に有利に転じるのであれば、逆風をはねのけて集団に固定する可能性が高い(中立突然変異よりも高い頻度で固定する)。しかしそれ以外の場合、たとえば集団の半数を占めてやっと有利に転ずるような戦略が、1個体の突然変異体から集団への固定に至るのは非常に困難である。ESS(進化的安定戦略)概念の有限集団への拡張についても論ずる。(Nowak, Sasaki, Taylor and Fudenberg, Nature 428, 646-650, 2004).

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205690700672
  • NII論文ID
    130007012475
  • DOI
    10.14848/esj.esj51.0.658.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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