茨城県小貝川流域に分布する絶滅危惧水生植物の種子浮遊性 Water dispersal of seeds from threatened aquatic plants distributed in the Kokaigawa River, Ibaraki Prefecture

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合成洗剤の普及に伴い,1960年代より河川の界面活性剤汚染が顕在化してきた。一方,河川は水生植物の減少が問題となっている生態系であり,その原因究明と保全が急務となっている。そこで,茨城県小貝川流域に分布する絶滅危惧水生植物の種子を採取し,その浮遊性に対する界面活性剤と小貝川表層水の影響を検討した。 種子50粒を,純水と1 mg/Lの界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;LAS)溶液中に入れ,5秒間撹拌した後24時間放置して沈水種子を数え,平均種子沈水率を求めた(N = 5)。絶滅危惧種として,キタミソウ,コイヌガラシ,シムラニンジン,タコノアシ(石下産・下館産),チョウジソウ,ハナムグラ,ミゾコウジュを用い,普通種としてウマスゲ,カサスゲ,スカシタゴボウ,ミコシガヤ,ヤエムグラ,ヤガミスゲを用いた。また,タコノアシのみの種子を用いて,2004年5月18日,9月3日,11月17日に小貝川養蚕橋地点で採取した表層水に対して同様な沈水試験を行った。 普通植物の種子の多くが純水中で浮遊したのに対し,絶滅危惧植物の種子は純水中で沈むものが多く見られた。絶滅危惧種のタコノアシ(下館産)と普通種のスカシタゴボウの種子ではLAS溶液の沈水率が純水より有意に高かったが,その他の植物では界面活性剤の有意な効果は認められなかった。また,小貝川表層水を用いた試験では,2004年9月に採取した河川水におけるタコノアシの種子沈水率は純水と同等だったが,同年5月と11月に採取した河川水のそれは純水より有意に高かった。 これらの結果は,(1)小貝川河川水はタコノアシの種子散布を阻害するが,このことはタコノアシ以外の絶滅危惧水生植物には該当しない可能性が高いこと,(2)絶滅危惧水生植物には種子浮遊性の低いものが多く,種子散布力の低下が個体群の減少要因の1つになっている可能性があることを示唆する。

Journal

  • Abstracts of the Annual Meeting of the Ecological Society of Japan

    Abstracts of the Annual Meeting of the Ecological Society of Japan ESJ52(0), 400-400, 2005

    ECOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN

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