ハイデルベルク市ヴィーブリンゲン地区における都市計画と住民参加 Urban Plannning and the participation of residents in Wieblingen, Heidelberg

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抄録

1.問題の所在1993年からECで開始されたサスティナブル都市プロジェクトは、都市の持続性に関するアイデアの普及、幅広い経験交流、都市レベルでの持続可能性を高める実践例の普及などが目的とされた。これは、EUに引き継がれ、現在も持続可能な都市を形成するための様々な政策が実施されている。ドイツにおいてもこれに対応する様々な都市開発計画が策定・実施されてきた。また、これと同時に多くの自治体で作成が進んでいるローカルアジェンダ21では、総合的・統合的な都市発展は行政が責任を持って実施すべき施策として位置づけられているが、その際、単に住民の意見を聞くだけでなく、住民に動機づけを行い多数の住民の多様な参画が企図されている。 本研究の目的は、ドイツのハイデルベルク市を例に、持続可能な都市を形成するための都市計画とそうした計画への住民参加の実態を明らかにすることである。2.ヴィーブリンゲン地区の開発計画ハイデルベルク市の北西部に位置するヴィーブリンゲン・ショーレンゲヴァン地区(Wieblingen Schollengewann)は、連邦国土計画・建築・都市建設省(BMBau)による実験住宅・都市計画プロジェクト(ExWoSt)のうち、未来都市(Stadt der Zukunft)部門のモデル地区に選定された。計画は、主に農地として利用されている約11.6haを開発し、500_から_600戸の集合住宅を建設することが主な目的である。この開発計画では、特に、都市計画の進展、地域社会整備、交通計画、環境保全に関する貢献が期待されている。3.住民参加の状況 ドイツの都市計画においては建設法典(BauGB)第3条により、開発計画の初期段階で計画目標とその影響を情報開示し住民意見を聴取する早期参加と、計画決定の前に建設誘導プランを縦覧し住民からの提案を受ける2段階の住民参加機会が義務づけられている。 ヴィーブリンゲン・ショーレンゲヴァン地区の開発計画では計画初期の早期参加の時点で、住民が情報提供を受けるだけでなく、より積極的に計画立案過程に参画できるシステムが採用された。具体的には、まず市長および市の計画担当者が出席し、計画構想の住民説明会が開催された。さらに、計画構想に関心のある住民と計画担当者および国外を含めた民間の設計業者等が開発計画について議論するワークショップが開催された。ワークショップでは、交通計画、環境保全、地域社会整備などの計画構想について検討された後、設計業者等が提案した具体的な開発計画プランについて議論がなされた。その結果、以後の当該開発の計画策定にあたって十分な考慮が必要な項目について合意された。4.開発の課題 ヴィーブリンゲン・ショーレンゲヴァン地区開発の最大の課題は、ネッカー川の新橋建設計画との計画調整である。現在、最も有力な新橋建設計画では新橋への取付道路がショーレンゲヴァン地区開発計画用地と重複しているのである。ネッカー川の新橋建設計画は環境保全および景観保全の観点から住民団体等からの反対意見が提出されているなどの要因から最終的な計画策定に至っていない上、両計画間の調整はハイデルベルク市議会でも政治問題化しており計画決定に至るまでには時間がかかるものと予測されている。そこで、ハイデルベルク市は新橋計画と重複しないショーレンゲヴァン地区北部の開発を先行して計画決定し着工することにしている。しかしながら、このことにより、実験住宅・都市計画プロジェクトに対応する当初計画からの変更が発生し、住民の意見が十分反映されたモデル地区としてふさわしい開発が完了するのかが問題となる。

収録刊行物

  • 日本地理学会発表要旨集

    日本地理学会発表要旨集 2005s(0), 198-198, 2005

    公益社団法人 日本地理学会

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