Three Dimensional Form of the Block Deposition Feature in the South Foot of the Adatara Volcano

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  • 福島県中央部,安達太良山南麓に位置する岩塊堆積地形の形態

Abstract

<BR>I.はじめに<BR> 全長数百メートル,幅数メートルから数十メートルの広がりを持ち,山地斜面に分布する岩塊堆積物を岩塊流と呼ぶことがある.瀬戸(2003)この種の堆積物とそれが作る地形について,成因が必ずしも明らかではないことから「岩塊堆積地形」と呼んでいる.本発表でもこの名称を用いる.福島県中央部に位置する安達太良山南麓には「石筵」と呼ばれる地域があり,周辺の斜面には岩塊堆積地形が認められる.本報告ではこの岩塊堆積地形の成因を明らかにし,他の岩塊堆積地形と対比するための基礎資料として,詳細な平面形および縦・横断形状を報告する.<BR><BR> II.調査地と岩塊堆積地形の概要<BR> 調査地は,安達太良山南麓に広がる斜面の最下部付近の浅い谷の中に位置する.地質及び岩塊堆積地形を構成する岩塊の岩質は安達太良火山の噴出物と考えられる安山岩である.岩塊堆積地形は全長約440mで,その下端は標高約800m,上端は標高約900mに位置し,上端は分水界となっている.幅は30~40mで最大幅は約50mである.岩塊堆積地形を構成する岩塊は径約50cm程度から径約150cm程度で多くは径100cm前後である.岩塊は角が取れて丸まっており,亜角礫と似た形状を示す.この岩塊は風化が進んでいるがハンマーの打撃では金属音がする.岩塊が現位置で割れている様子は認められず,二次的な岩塊生産はないと考えられる.降雨時および降雨直後には岩塊堆積地形の基底と,岩塊堆積地形下端部から斜面下方へ向かって伸びる水路に水が流れる.一部を除き,岩塊はマトリックスフリーに堆積しており,岩塊と岩塊との間の隙間からは木本が生育している.浮き石となっている岩塊も多く認められる.<BR> <BR> III.岩塊堆積地形の形態<BR> 石筵に位置する岩塊堆積地形の平面形および縦・横断形を調査した.本報告では平面形,縦・横断形および地表面の様子から,この岩塊堆積地形を上部からセグメントI~IIIに区分した.<BR> セグメントIでは岩塊堆積地形の幅が約50mに達し,全体の中で最大である.また,伸長方向の異なる岩塊堆積地形が今回調査した岩塊堆積地形と2カ所で合わさっている.縦断形は全体として上に凸で,概ね滑らかな形状を示すが,部分的には段があり岩塊堆積地形表層部に小崖状の微地形があることが分かる.この小崖状微地形は明瞭で縦断図上のみではなく,岩塊堆積地形を横断するように伸びている様子を現地で視認できる.横断形は全体として凹型で岩塊堆積地形が位置する谷の断面形状を示し,谷底に相当する部分に凹凸が多く認められる.しかしながら,現地観察では,いくつかの断面測線上で谷底部のみならず谷壁に相当する部分にも岩塊が層をなして堆積している様子が認められた.<BR> セグメントIIの特徴は他の区間ではマトリックスフリーな岩塊がこの区間では埋没していることである.セグメントIIの中央部では幅4mの舗装道路が岩塊堆積地形を横断しており,この道路建設の影響で岩塊が埋没したことも考えられる.岩塊が埋没しているため,正確な平面形状は不明である.平面図には棒で地面を突き刺したり,地表に見えている岩塊の位置などから推定した範囲を示した.岩塊が埋没しているので縦・横断形ともに凹凸は少なく,滑らかな断面である.<BR> 最下流部に位置するセグメントIIIはセグメントIと比べて幅が狭く,岩塊堆積地形の下端が極めて明瞭である.岩塊堆積地形下端からは幅1m程の水路が下流方向に向かって延び,水路の中や周辺には埋没している岩塊が認められる.セグメントIII上半部では縦断面形状が凸型を示し,激しい凹凸が認められる.縦断測線は岩塊堆積地形下端から延びる水路も含めている.縦断径には岩塊堆積地形の下端が遷緩点として現れている.横断形状はセグメントIと同様に凹型を示し,谷底に相当する部分に岩塊を示す凹凸が見られる.しかしながら,セグメントIと異なり,谷壁に相当する部分には岩塊は認められない.<BR><BR> IV.まとめと考察<BR> 石筵に位置する岩塊堆積地形について,その形態を詳細に調査した.この結果,岩塊堆積地形の形態は全体で一様ではないことが明らかになった.このようにある一連の岩塊堆積地形が部分ごとに異なる特徴を持つ例は瀬戸(2004)が足尾山地の例で報告し,岩塊堆積地形全体が一連の形成プロセスで形成されたものではなく,部分的に異なるプロセスがモザイク状に働き,それらが複合して岩塊堆積地形を形成したと考えた.今後の詳細な調査でデータを蓄積する必要があるが,今回報告した岩塊堆積地形にも同様の事が言えると考えられる.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680668428288
  • NII Article ID
    130007013843
  • DOI
    10.14866/ajg.2007s.0.172.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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