Distribution of tsunami deposits by the 2004 Indian Ocean Tsunami and the change of coastal landforms along alluvial plains, southwestern part of Thailand

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  • インド洋大津波時の浜堤列平野における津波堆積物の分布と粒度組成,ならびに津波後の地形変化
  • タイ南西部の浜堤列平野の事例

Abstract

<BR>はじめに<BR> タイ南西部に位置するナムケム平野とカオラック平野において,2004年インド洋大津波時の津波堆積物の分布・粒度組成と浜堤列内の微地形との対応関係を検討した.また,ナムケム平野の北部において津波時に消失した砂嘴の新たな形成が開始されているのを確認できたので,その地形変化に関する考察を行った.<BR><BR>調査地域の概観<BR> ナムケム平野およびカオラック平野は,幅500m~2km程度の平野であり,幅数10mの複数の浜堤とその間の堤間凹地が南北方向に発達する沖積平野である.これらの平野においては,海津(2006),藤野ほか(2006)により,津波の流動や津波堆積物に関する詳細な調査が行われている.しかし,浜堤列平野内の微地形と津波堆積物の粒度組成などの対応関係は明らかにされているとは言い難い.<BR><BR> 浜堤列平野の微地形と津波堆積物<BR> 両平野とも従来の報告と同様,浜堤上では津波堆積物は薄く,堤間凹地では厚いという傾向がみられた.ただし,カオラック平野では堤間凹地では層厚5~10cm前後,浜堤上では津波堆積物が欠損することが多いのに対し,ナムケム平野では堤間凹地で層厚15~30cm,浜堤で層厚5~10cmとカオラック平野に比べて大きくなっている.またこれらの堆積物は内陸部に向かうにつれて,それぞれ層厚を減ずるという特徴を有する.<BR> 浜堤列平野の微地形と堆積物の粒度組成の検討をナムケム平野において行った結果,以下の事実が明らかになった(図1および図2).浜堤と堤間凹地では相対的に浜堤の方が粗粒であるが,浜堤のみで比較した場合,海岸線から500m付近までは2φ前後の中粒~細粒砂サイズの砂が卓越するが,それよりも内陸側ではシルトが主体となり細粒化がみられる.また,堤間凹地では全体的にシルトが卓越し,内陸側にむかって徐々に細粒な堆積物の割合が高くなる. <BR><BR>Pak Ko川河口部の地形変化<BR> ナムケム平野の北部に位置するPak Ko川河口部では,津波により砂嘴が消失したことが指摘されているが(海津,2006),2006年8月の現地調査の際には,それ再形成されていることが確認できた.そこで,2003年1月以降の異なる月日の衛星画像(IKONOSおよびQuick Bird画像),および2006年8月(現地測量)により津波襲来前後以降の海浜地形の変化を検討した.<BR> その結果,Pak Ko川河口部に発達していた砂嘴は,津波時に消失したものの,その後,短期間において再形成を開始していることが確認された.ただし,その形成位置は津波前の砂嘴とは異なり,以前よりも東側(内湾側)に形成され,さらに,砂嘴の発達方向は北西-南東方向(以前は南北方向)に発達していることが明らかになった.また,砂嘴の北側に位置する海岸部では,津波時には侵食を被っていなかったが,津波後から1年6ヶ月で幅50m以上の海岸侵食が進行している.<BR><BR>  本研究は,平成18-21年度科学研究費補助金(基盤A,研究代表者:今村文彦)の一部を使用した.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205691725696
  • NII Article ID
    130007013859
  • DOI
    10.14866/ajg.2007s.0.168.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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