ロケ誘致による観光資源開発と持続的利用
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- 天野 宏司
- 駿河台大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Tourism Resource Development by attracting Film crew and Continuation use
- How can we keep shouting "Love at The Heart of The World" ?
- -世界の中心で,愛をさけび続けられるか?-
抄録
問題の所在<BR> 近年,日本各地で観光資源開発の一手法として,映画とのタイアップが取り入れられ,特に映画やテレビドラマの撮影に関するロケ隊の受入を積極的に進める事例が増えている。ロケ隊の受入により,知名度を飛躍的に向上させたのが「世界の中心で,愛をさけぶ(2004年公開)」の舞台となり,撮影地となった香川県木田郡旧庵治町(現高松市庵治町)である。映画のヒットは「セカチュー現象」と呼ばれるブームを巻き起こし,撮影の行われた庵治町を訪問する行動=ロケ地観光が見られるようになり,映画が観光資源の創出に効果的であることが知られ,各地で盛んにロケ隊の受入と,これによる町興しが進められることになった。<BR> 映画ヒットに便乗する形で進められる知名度の向上は,簡便にして効果的ではあるが,一方その効果が一過性で持続しにくい点,および散在するロケ地を巡るツーリストを定量的に把握することが困難なことが問題として挙げられる。本報告では,庵治町を事例にロケ地観光を定量化する手法を開発し,映画による町興しの効果が持続しているのか・否かを検証することとする。<BR> 研究手法<BR> 香川県の観光動向統計調査では,庵治町内の旧来の観光資源を統計対象としているため,新たに創設された観光資源であるロケ地関連の入り込み客数は把握不能である。彼らの主要な訪問施設が「王の下堤防」・「皇子神社境内」・「庵治観光交流館」などであり,このうち「交流館」では,月別入館者数が把握可能である。本報告では,これに加えツーリスト達がとるある行動に注目し,定量化を試みた。<BR> “ある行動”とは,純愛をテーマにした映画の内容から,「恋人達が永遠の愛情を誓い,南京錠を掛ける」行為である。南京錠には,恋人達の名前の他,誓いの言葉,南京錠を掛けた日付などが書かれているため(写真1),彼らの訪問日を特定可能である。報告者は,2007年3月から3次にわたり,これら南京錠の悉皆調査を行い,日付の採録を行った。これを突合させることにより,3次の調査間における南京錠の増減・移動が把握可能となった。<BR> 結論と展望<BR> 結論から言えば,今なお庵治町において,南京錠を掛ける行為は続き,その量を増加させている(写真2)。観光交流館の入館者数も,コンスタントに月1,500人程度を維持し続けている。しかしながら,別の問題も一方では存在している。観光動向の分析を含め,詳細は当日報告する。<BR>
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2009f (0), 121-121, 2009
公益社団法人 日本地理学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680669410944
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- NII論文ID
- 130007015263
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可