ポーランド・ポズナン市における東欧革命以降の都市再生の地域特性  [in Japanese] Areal Pattern of Urban Renewal in Poznan, Poland after the Revolution of 1989  [in Japanese]

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I. 研究目的・研究方法<BR> 1989年以降のいわゆる東欧革命を通じて,東欧諸国は民主主義へと移行し,経済的にも市場経済システムを導入した。このうち非共産党系政治勢力の活動がいちはやく自由化され,自由選挙が実施されたのはポーランドであった。2004年にEU加盟を果たしたことで,ドイツをはじめとする経済大国からの投資拡大とそれに伴う経済成長がこれまで続いてきた。本研究は,中心市街地の再生を目指す公的な都市再生事業が導入されるとともに,東欧革命以降に市場主義経済のもとで都市再生が進められているポーランド・ポズナニを事例として,公的事業を通した都市空間再編,また中心商店街における社会空間変容という観点から都市再生の地域特性を明らかにすることを目的とする。<BR> 本研究では定量的な視点から形態的変化および社会的変化を都市規模のメソスケールで分析するとともに,事例地区の世帯レベルのミクロスケールでの住宅の改修歴を住民への聞き取り調査に基づいて分析する。分析対象として都市更新の公的事業が近年導入され,同時に市場主義経済のもとで都市再生が進められているポーランド・ポズナニを事例として選択し,公的事業を通した都市空間再編,また中心商店街における商業機能や社会空間変容という側面から分析することを通してポーランドでの都市再生の進展に関する地域的特性を明らかにする。<BR><BR>II. 都市再生政策の展開に伴う都市空間変容<BR> ポズナン市は社会主義時代から中西部の地方中心都市として発展し,東欧革命後も製造業のほか,商業や金融業の盛んな有力都市として経済発展を遂げている。近年の少子高齢化を背景として人口が減少しているものの,当市には高等教育機関が多数立地していることもあり,周辺地域から若年者層を吸引している。こうした中で都市中心部での建物の形態的・機能的劣化や社会的・経済的衰退が一部地域において顕著であるため,市は2004年に2005年から2010年までの中期開発計画を定め,中心部と郊外の居住環境整備を進めている。居住環境整備では郊外での宅地開発と都心周辺部の衰退地域の再生事業が中核に据えられ,都市再生事業の事業候補地として130を超える地区が選定されている。ただし,財政的理由により2008年8月の時点で実施されているものはパイロット事業の2か所にとどまる。パイロット事業の実施過程において,実施までに住民との意見交換の場を複数回確保し,住民と共同しながら事業を進める制度が構築されている。<BR><BR>III.  都市中心部の社会空間変容<BR> 商業・サービス分野は当市の経済成長の柱ともいえ,市内の商業施設や宿泊施設に対して直接投資が行われており,内外からの民間投資により都市中心部には商業施設やオフィスビルが数多く建設されている。当市の都市中心地域には高次の商品を扱っている商業施設が多数集積しており,周辺地域から多数の消費者を吸引している。このうち中心商店街のPotwiejska通りは,業種構成からみると大型商業複合施設を核としながら,衣料品を中心に小規模の専門店が集積している。2006年と2008年の土地利用調査に基づいて店舗の業種構成を見ると,業種転換が活発に行われ,消費者ニーズに沿った活発な経済活動が行われている。また,所得水準の向上を背景として比較的高額の商品を扱う店舗が増加し,さらに店舗の立地条件の差異という資本主義的原理に基づいた土地利用の変化が生じている。中心商店街の店舗の上階(2階以上)は一般住居として利用されており,こうした住居では都心居住を指向する若年世帯が増加している。入居者が大幅な室内リニューアルを実施するとともに,入居後に住居の改修を自己負担でたびたび行っている。<BR><BR>IV. おわりに<BR> ポズナン市においては,公的事業である都市再生事業や国内外からの直接投資に基づいた商業施設更新を通じて,都市空間が社会的・経済的に大きく変容している。とくに中心商店街は消費者ニーズに対応した業種転換が活発であり,景観が著しく変化している。同時に都市中心部では都心居住を指向する若年世帯が増加しており,居住者による住居の改良も継続的に行われている。一方,都市再生事業は立案されてはいるものの,実施件数は少数であり,その事業内容をみても道路や公共施設を中心としたインフラ整備が実施されているのみである。個別の事業実施にあってはEUからの補助金に大きく依存しており,市の主体的な都市再生事業がこれまで十分実施されているとはいえない。

The purpose of this study is to crafty the areal pattern of urban renewal in terms of both the changes in spatial structure through the urban policy and the conversion of social space of a central commercial district through a case of a large Polish city: Poznan where the urban renewal projects have been implemented and commercial facilities have increased in number after the Revolution of 1989. The result of analysis shows that the urban area of Poznan has largely changed in social-economic aspects. Those changes are caused by both public projects: urban renewal projects and renewal activities for the commercial facilities based on the direct and indirect investment from Polish and foreign company. Especially, the conversion of commercial facilities in this area for offering new merchandise optimized to customer needs leads to a large-scale change in landscape in a central commercial district called Potwiejska Street. In the central commercial districts, the young families preferring to live in an urban central area and enjoying accessibility to urban facilities increased in number and they continually renovate and repair their residential units. Meanwhile, although the city authority has programs of over 130 urban renewal projects, only two projects have been carried out as pilot project since 2006. In the scheme of Srodka pilot project, the city authority redeveloped several urban infrastructures such as schools and roads, many of which largely financially depended on EU Structural Fund. It has not yet carried out enough number of public interventions because of lack of financial, social and legal institutions to promote urban renewal.

Journal

  • Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers

    Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2009s(0), 43-43, 2009

    The Association of Japanese Geographers

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