教育におけるGIS/ARシステムの活用

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書誌事項

タイトル別名
  • Utilization of Location-Based Augmented Reality (AR) Information System in School Education
  • ―群馬県立高校における地域調査および修学旅行の学習内容への応用―

抄録

1.はじめに 野外実習は,生徒が授業で学んだことを現場で目にすることで,学習内容に対する理解を深める絶好の機会である。しかし,高等学校の授業では時間的な制約や安全管理面の問題等から,通常の授業時間内に実施することが難しい。また,授業時間外を利用した「課題」として,校外で見聞したことをレポートとしてまとめさせるなどは可能であるが,その際に教員側が最低限注目してほしい箇所に,生徒が気付くとは限らないという問題もある。本報告は,これらの問題を克服するため,高等学校の地理授業において課題として野外実習を実施したものである。その際,AR技術を利用することで,生徒は各自が所持するスマートフォンにインストールした専用アプリを通して,教師が注目させたい場所について確認しながら実習を行ったものである。利用シーンとして「身近な地域のバリアフリー調査」「修学旅行での現地学習」の3例を設定した。<br>2.身近な地域のバリアフリー調査対象地域:群馬県伊勢崎市対象生徒:群馬県立伊勢崎興陽高等学校 3学年14名教科・単元:現代社会「共に生きる社会を目指して」実施日時:2014年8月29日介護福祉士国家試験受験を目指して福祉を学ぶ生徒を対象に,現代社会の補習授業としてバリアフリーに関する授業を行った。その中で生徒自らバリアフリー・ユニバーサルデザインの観点で身近な地域を踏査し,気付いた点をレポートさせたものである。注目するべきポイントとして次の観点から8か所程度のコンテンツを作成した。・バス停や市役所などで工夫されている点・歩道の幅員や横断歩道における段差・歩行者信号の間隔・避難場所など公共施設の看板における工夫 などコンテンツの中に,現地でなければ知りえない設問を入れ,写真とコメントを提出させる(メールも可)などの工夫を行った。コンテンツは常時閲覧可能なため,生徒は適宜現地に赴き,的確に教員側の意図するポイントを見つけコメントを返すことができていた。<br>3.通信制高校のスクーリングにおける活用対象地域:群馬県前橋市対象生徒:群馬県立清陵高等学校通信制教科・単元:日本の地理「群馬県のすがた」実施日時:2015年7月26日 「日本の地理」は群馬県及び日本の各地域についての特徴について学ぶ教養科目である。学校所在地である前橋について、学校周辺の文化施設・商業施設や,かつて盛んであった製糸業の名残や由来する施設など,歴史的な変化がわかるコンテンツを13カ所設定した。 コンテンツに過去との比較ができる写真を載せたことで、変化の様子をつかむことができた。また、建物に隠れてしまうなど、直接見渡せない事象についても、位置を掴むことができた。<br>4.修学旅行における現地学習対象地域:沖縄本島対象生徒:群馬県立沼田女子高等学校 2学年39名教  科:地理B実施日時:2015年10月9日~12日多くの生徒にとって数少ない現地学習の機会である修学旅行において,地理的事象に気付かせるためAR技術の援用を試みた。コンテンツとして次の観点から30か所程度を作成した。・見学地や車窓での見どころや地理的事象・広域での位置を把握するため島外諸都市への方向・距離コンテンツには関連Webサイトへのリンクを載せるなど,ガイドブックとしての機能も持たせることができた。天候や見学時間の制約にも左右されるため,全てのポイントを均質には見られないが,米軍の上陸地点など戦跡における過去の状況や,雲に隠れた離島の位置を示すなど,ARらしい利用可能性が確認できた。

収録刊行物

詳細情報

  • CRID
    1390001205694644096
  • NII論文ID
    130007017428
  • DOI
    10.14866/ajg.2016s.0_100100
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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