ブナ林の断片化がブナ集団の遺伝的多様性と繁殖に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of habitat fragmentation on genetic diversity and reproduction in <i>Fagus crenata</i> populations

抄録

<p>生育地の分断化は集団の孤立と集団サイズの減少をもたらし生物集団の存続を大きく脅かすと考えられている。わが国のブナ林はこれまでの人間活動によって分断化されてきた。本研究では、ブナ林の断片化がブナ集団の遺伝的多様性と繁殖に及ぼす影響を調べた。北陸、長野県とその周辺、北関東の3地域において、各地域に分布する小集団と大集団を対象とし、マイクロサテライトマーカーを用いた遺伝的多様性調査、種子生産調査、および発芽実験を行った。その際、断片化しているブナ林で集団サイズが100個体未満の集団を小集団とし、連続しているブナ林、あるいは断片化していても比較的広い範囲に広がるブナ林で集団サイズが100個体以上の集団を大集団と定義した。大集団と比べて小集団では集団内の遺伝的多様性が低く、近縁度が高く、また、他の集団からの遺伝的分化が高かった。さらに大集団と比べて小集団では、開花しても堅果が稔らない割合(不稔率)が高く、健全堅果の割合(結実率)が低く、発芽率が低かった。これらの結果は、ブナにおいても、集団の孤立と集団サイズの低下が集団の存続に負の影響を及ぼしていること示唆している。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680686354816
  • NII論文ID
    130007021307
  • DOI
    10.11519/jfsc.128.0_697
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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