島嶼ブナ北限奥尻島集団の遺伝的多様性と分化

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タイトル別名
  • Genetic diversity and population differentiation of <i>Fagus crenata</i> in Okushiri Island

抄録

<p>日本列島の冷温帯広葉樹林を代表するブナは、本州日本海側の山岳地帯を中心に大面積の純林を形成し、その地理的分布の北限は北海道南部にある。一方、日本海に点在する島嶼にもブナ林が天然分布し、その北限は北海道の奥尻島にあり,日本海島嶼性ブナ林の北限として植物地理学上重要な位置を占める。奥尻島のブナ林は植物社会学的に北海道本土のブナ北限地帯のみならず,本州太平洋側の北上高地のブナ林と共通の要素を示すことが示唆されている。そこで,北海道渡島半島全域から17集団,奥尻島全域から17集団,本州北東北から8集団のブナ林を対象に計1718個体の核SSR12座の多型解析によって遺伝的分化を調べた。奥尻島における平均ヘテロ接合体率は0.783であり,小さな島であるにも関わらず渡島半島(0.779)および北東北(0.787)のブナ集団に匹敵する高い遺伝的多様性を示した。遺伝的分化の程度G'STは奥尻島で0.140(渡島半島0.201,北東北0.164)となり,島内での分化が示唆された。また,STRUCTURE解析では奥尻島ブナ林と北東北のブナ林と祖先系統を共有する集団の存在が確認された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205710881024
  • NII論文ID
    130007021824
  • DOI
    10.11519/jfsc.128.0_368
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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