3種のマウス過形成胎盤モデルの電顕組織学的形態観察

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タイトル別名
  • Ultrastructure of placental hyperplasia in mice: Comparison of placental phenotypes with three different etiologies

抄録

【目的】体細胞核移植(SCNT)胚,亜種間交雑胚,および細胞質を卵子に注入した顕微授精(ciICSI)胚の胎盤は過形成となることが報告されているが、その発生メカニズムは不明である。本研究ではこれら3種の過形成胎盤モデルの電顕組織学的観察を行い,その超微形態における共通性について検討を行った。【方法】SCNT胚はBDF1卵丘細胞をドナーに用いて常法に従って作出,亜種間交雑胚はBDF1(M. m. domesticus)卵子にHMI(M. m. castaneus)の精子をICSIして作出した。ciICSI胚はVan Thuanらの方法に従い,B6卵子にB6卵丘細胞の細胞質とDBA/2の精子を導入して作製した(Van Thuan et al,BOR,2006)。対照区としてB6×DBA/2のIVF胚を用いた。これらの胎盤のパラフィン切片をHE染色およびin situ hybridization法を用いてspongiotrophoblast(ST)細胞のマーカーであるTpbpaを染色した。さらに通常の透過電顕観察を行った。【結果】過形成胎盤モデルの組織学的な特徴は,3種間で類似していた。SCNT胚や亜種間交雑胚の胎盤の特徴である,迷路層とST層の境界の不規則化およびグリコーゲン細胞の増加によるST層の拡大がciICSI胚の胎盤でも確認された。さらに透過電顕像でも共通した異常が観察された。すなわち,迷路層トロホブラスト細胞内の空胞増加,そしてST細胞の粗面小胞体の顕著な拡張とゴルジ体の増加が観察された。一方、胎仔内皮(尿膜)由来細胞に異常は認められず,過形成胎盤の発生においては特にトロホブラスト系列細胞が影響を受やすいことが示唆された。病因学的に全く異なる3種類の過形成胎盤モデルが微細形態レベルを含めて共通した異常を示したことから,マウス胎盤の過形成はさまざな誘因により開始される一定の反応機序に伴う表現型と言えるのかもしれない。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205714489472
  • NII論文ID
    130007022881
  • DOI
    10.14882/jrds.101.0.568.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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