ミルク中L-amino acid oxidase (LAO)による乳腺感染防御機構
書誌事項
- タイトル別名
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- L-amino Acid Oxidase has a Crucial Role in Host Defense of the Mammary Gland
抄録
【目的】哺乳動物に必須である乳腺組織は外分泌腺の一つで外界に開放しており、泌乳期間中は哺乳や搾乳を通して微生物の感染リスクが高まるため、ミルク中に何らかの抗菌物質が存在すると考えられている。近年、我々はマウスミルク中において、L型アミノ酸を分解し過酸化水素を産出するL-amino acid oxidase (LAO)の存在を明らかにした。一方で、搾乳されたミルク中には特定のL型アミノ酸が欠如していることが知られていたが、その生理学的意義や分子メカニズムは長い間不明であった。本研究では、LAO遺伝子ノックアウトマウスを作出し、ミルクおよび乳腺機能の解析を行うと共にLAOタンパクが泌乳中の抗菌維持に関与しているかどうかの検討を行った。【結果】1. まず始めにLAO抗体を用いてウエスタンブロットを行った結果、LAOタンパクは乳腺および泌乳特異的に産生されることが明らかとなった。2. 作出したLAO KOマウスは正常な発育と繁殖能を示し、乳腺発達、ミルク合成にも影響は見られなかった。3. LAO KOマウスのミルクは、アミノ酸存在下における過酸化水素発生能を完全に消失しており、in vitro細菌増殖に対して抗菌作用を示さなかった。4. 野生型マウスのミルク中にはLAOのターゲットとなるアミノ酸が欠如していたが、KOマウスのミルク中には十分量存在していた。5. 泌乳マウスの乳頭より一定数のブドウ球菌を接種し、24時間後の乳腺内における感染細菌数を測定した結果、野生型と比較してLAO KOマウスの乳腺内において100倍以上の感染細菌数が確認された。【結論】以上の結果から、マウスにおいて泌乳中の乳腺より産生されるLAOタンパクは、ミルク中に存在するアミノ酸を利用し過酸化水素を発生させることで乳腺内の抗菌維持に重要な役割を担っていることが明らかとなった。今後のウシのLAOタンパクと乳房炎の関係解明に期待がもたれる。
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 101 (0), 117-117, 2008
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205714818816
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- NII論文ID
- 130007023334
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可