再現性良いノックダウン効率を示す、miRNA発現トランスジェニックマウス作製法の確立

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タイトル別名
  • Production of miRNA-based knockdown mice showing reproducible knockdown of the gene of interest

抄録

【目的】RNA干渉(RNAi)を利用したマウス個体レベルでのノックダウン法は、ノックアウト法とは異なり遺伝子発現量を0にすることは困難であるが、ES細胞を経ずに受精卵への顕微注入法(前核注入法)でもノックダウン個体が作製できること、ヘミ接合体で解析可能であること等から、労力、時間、コストの面で利点を有する簡便なloss-of-function解析法と言える。しかし、従来の前核注入法では導入遺伝子の挿入位置やコピー数を制御できないため、常に再現性良いノックダウン効率を示す RNAiトランスジェニック(Tg)マウスを得ることは困難であった。本研究では、我々が独自に開発した、前核注入法を介した部位特異的Tgマウス作製法をノックダウン法に応用し、再現性良いノックダウンTgマウス作製を試みた。【方法】eGFP遺伝子及びチロシナーゼ(Tyr)遺伝子に対するmiRNA配列を複数種類設計し、発現ベクターに挿入後、ES細胞に導入してノックダウン効果を有するmiRNA配列を選別した。有効なmiRNAについてはTgマウス作製用ベクターにクローニングし、Cre発現ベクターと共に種マウス(Rosa26座位に変異loxP配列を有する)由来の受精卵前核に注入した。Rosa26座位にmiRNA発現カセット(CAG-蛍光遺伝子-miRNA-polyA)が挿入された目的のTgマウスを得た後、個体レベルでのノックダウン効果を検証した。【結果】eGFPノックダウンマウスについては3系統のファウンダーマウスが得られたが、全ての系統でノックダウン効率は完全に一致しており、本法で再現性良くノックダウンTgマウスが作製できることが分かった。更に、同様の手法で作製したTyrノックダウンTgマウスは、メラニン色素とチロシナーゼmRNAの減少が確認され、本システムが内在性遺伝子のノックダウンにも応用可能であることが示された。現時点までにmiRNAの強発現による毒性も認められていない。従って、再現性良く確実に、個体レベルでノックダウン可能なシステムを確立できたと言える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205715924480
  • NII論文ID
    130007024276
  • DOI
    10.14882/jrds.104.0.1032.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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