卵子形成過程におけるホメオドメイン転写因子pKnox1の発現と機能

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Expression and function of homeo domain transcript factor pKnox1 during the oogenesis

抄録

【目的】卵子および精子はそれぞれ始原生殖細胞を起源とし、胎児期より雌雄異なる分化を経て形成されるが、精子に比べ卵子形成過程については未だ十分に解明されていない。pKnox1はTALEファミリーに属するホメオドメイン転写因子であり、卵巣形成あるいは卵胞発育に関与する事が示唆されているが、その詳細な役割については明らかになっていない。本研究では、卵子形成におけるpKnox1発現ならびに機能について解析した。<BR>【材料および方法】C57BL/6雌マウス(胎齢13.5、15.5、17.5日齢、および生後6日齢、3ヶ月齢)の生殖腺におけるpKnox1遺伝子の発現をRT-PCR法にて行った。また、成熟pKnox1-LacZノックインマウスの卵巣を採材し、X-gal染色を行った。さらに、卵子胞形成過程におけるpKnox1の機能を明らかにする為に、Pknox1遺伝子のエクソン2を含む1.5 kbの領域をloxP配列で挟んだPknox1flox/floxマウスを作製し、生殖細胞特異的にCre recombinaseを発現するTNAP-Creマウスとの交配で得られたTNAP-Cre;Pknox1flox/floxマウスを用いて、組織学的解析を行った。<BR>【結果】雌性生殖腺におけるpKnox1遺伝子の発現を解析した結果、胎生15.5日目の卵巣原基から発現が始まり、出生2日齢の卵巣でピークを迎え、その後一旦発現が低下するが成体卵巣において再び発現が増加することが明らかとなった。また、成熟卵巣においては原始卵胞から三次卵胞で卵子に、三次卵胞では卵子以外にもpknox1の発現が認められた。そこでTTNAP-Cre;Pknox1flox/floxマウス卵巣の組織学的解析を行ったところ、性成熟後において著しい卵巣の萎縮と総卵胞数の減少が認められた。また、性成熟前においては、卵巣の大きさに差は認められなかったが、総卵胞数の減少とともに卵母細胞の死滅が原因と見られる空砲化した卵胞が多数認められた。<BR> 以上の結果から、pKnox1は卵母細胞の生存あるいは死滅に必須に関与することが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205716295168
  • NII論文ID
    130007024792
  • DOI
    10.14882/jrds.104.0.308.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ