鉄-シリコン合金の状態方程式 Equation of state of iron-silicon alloys to megabar pressure

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地震学的観測から推定されている地球核の密度は,同条件下での純鉄の密度よりも,内核で3-4%、外核で10%程度低いことがわかっている.このことは,地球核に鉄よりも軽い元素が存在していることを示唆しており,その候補として,水素,炭素,酸素,マグネシウム,シリコンおよび硫黄といった軽元素が挙げられている.しかしながら,どの軽元素がどの程度の影響を与えているのかは不明である.これまで様々な鉄-軽元素系の実験が行われ,地球核中に含まれている軽元素の可能性が議論されてきたが,その大部分は低圧領域における実験結果の外挿からの推察が基になっていることも,未解決の理由のひとつになっていると思われる.しかし,近年のダイヤモンドアンビルセル技術の発展により,核条件すなわちメガバールからマルチメガバール領域における高温高圧実験が可能になってきた.実際に核に相当する圧力条件下で鉄-軽元素系の実験を行い,それらの系で出現する高圧相,その組成や状態方程式を決定することは,地球核の組成を制約するのに非常に有用である.<br> シリコンは地球化学的な議論から地球核中の軽元素の候補として挙げられている.従来,鉄-シリコン系の密度は衝撃圧縮実験で270 GPaまで得られているが,静的圧縮ではダイヤモンドアンビルセルを用いた実験での54 GPaが最高圧力であった.我々は出発物質にFe8.7wt.%SiおよびFe17.8wt.%Siを用い,それぞれ圧力196 GPa,124 GPaまで実験データを取得した.高圧発生にはダイヤモンドアンビルセルを用いた.高圧X線回折実験を高エネルギー加速器研究機構PFのビームラインBL13AおよびBL18Cで実施した.回折パターンはイメージングプレートを用いた角度分散法により取得している.圧力測定はルビー蛍光法,または白金の状態方程式により決定した.実験は室温で行われた.<br> Fe8.7wt. %Siは常温常圧では純鉄と同様のbcc構造をしている.加圧過程では,16 GPaでbccに加えhcp構造が共存し,37 GPaでhcp単相になり,196 GPaまでhcpが安定に観察された.この転移圧力はLin et al. [2002] が報告している結果と一致する.一方、Fe17.8wt. %Siも常温常圧でbcc構造であるが,その周期構造は純鉄の2倍となる.この相は124 GPaまで安定で,転移は観察されなかった.3次のBirch-Murnaghanの状態方程式より,Fe8.7wt.%Siのhcp相,Fe17.8wt.%Siのbcc相の弾性定数を求めた結果,前者は常圧での体積(<I>V</I><SUB>0</SUB>)が22.2(8) Å<SUP>3</SUP>,体積弾性率(<I>K</I><SUB>0</SUB>)が198(9) GPa,体積弾性率の圧力微分係数(<I>K</I>'<SUB>0</SUB>)が4.7(3) であり,後者ではそれぞれ<I>V</I><SUB>0</SUB>=179.41(45) Å<SUP>3</SUP>, <I>K</I><SUB>0</SUB>=207(15) GPa and <I>K</I>'<SUB>0</SUB>=5.1(6)であった.これらの実験データから地球核条件での密度を求め,地震波観測から求められている密度と比較した結果,地球核中に含まれる軽元素をすべてシリコンとし,温度6000 Kと仮定した場合、4-10%含まれると見積もられた.同様に,得られた弾性定数から地球核における弾性波速度を見積もり,地震波観測から取得されている値と比べた結果,地球核中に数%のシリコンが含まれる可能性が示された.

Stable phase and equation of state of iron-silicon alloys, Fe-8.7 wt.% Si and Fe-17.8 wt.% Si, have been investigated using diamond-anvil cell techniques up to 196 GPa and 124 GPa, respectively. The unit cell volumes at room temperature were measured by X-ray diffraction method using synchrotron radiation and an imaging plate (IP). Fe-8.7 wt.% Si transformed from bcc phase into the bcc and hcp phases at 16 GPa and room temperature, and the phase transformation to the hcp phase was completed at 36 GPa. The high-pressure phase of Fe-8.7 wt.% Si with hcp structure was stable up to 196 GPa. No phase transition in bcc-Fe-17.8 wt.% Si was observed up to 124 GPa. The pressure-volume data were fitted to a third-order Birch-Murnaghan equation of state (BM EOS) with zero-pressure parameters: <I>V</I><SUB>0</SUB> = 22.2(8) A<SUP>3</SUP>, <I>K</I><SUB>0</SUB> = 198(9) GPa, and <I>K</I>'<SUB>0</SUB> = 4.7(3) for hcp-Fe-8.7 wt.% Si and <I>V</I><SUB>0</SUB> = 179.41(45) A<SUP>3</SUP>, <I>K</I><SUB>0</SUB> = 207(15) GPa and <I>K</I>'<SUB>0</SUB> = 5.1(6) for Fe-17.8 wt.% Si. The density and bulk sound velocity of hcp-Fe-8.7 wt.% Si indicate that the inner core would contain a few weight % of Si.

Journal

  • Abstracts for Annual Meeting of the Mineralogical Society of Japan

    Abstracts for Annual Meeting of the Mineralogical Society of Japan 2003(0), 17-17, 2003

    Japan Association of Mineralogical Sciences

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