セルロース誘導体を用いたセルロース繊維の押出成形

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  • セルロース ユウドウタイ オ モチイタ セルロース センイ ノ オシダシ セイケイ

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Abstract

<p>パリ協定の採択に伴い,石油系プラスチックを代替しうる100%植物由来の材料開発がますます重要になる。セルロース繊維は,地球上に豊富に存在し,耐久性と生分解性を兼ね備えた優れた素材であるが,一般に製品形状がシート状に限定されることが欠点である。本研究では,様々な成形方法,特に押出成形が可能なオールセルロース素材を開発することを目的として,試験的に紙袋の把手材料を模した押出成形品も製作した。</p><p>セルロース繊維に,押出時の流動性と押出後の保形性を付与する物質として,セメントやセラミック押出成形品に利用される粉末状セルロース誘導体:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を選択した。セルロース繊維である紙粉にHPMCを混合し,水を使って混練することにより,可塑性ある粘土状のオールセルロース素材を調製することに成功した。素材の含水率が,素材の粘性と保形性に大きな影響を与え,50%程度が適当だった。素材は手動のクレイエクストルーダーを用いて平紐状に押し出し,60℃で乾燥させ,成形品を得た。HPMCの混練率を変化させた結果,紙粉:HPMC=8:2~7:3にかけて,素材の可塑性が向上し,乾燥成形品の強度が最も大きくなった。市販紙袋の把手と同等以上の引張強度を示し,プラスチック素材に比べ伸びが小さく,紙紐や紙平紐に近い特性を示した。成形品を過剰の水中で撹拌すると,繊維は離解し,HPMCが水に溶出する性質があり,紙同様にパルパーを用いたリサイクルができる素材であることが確認された。これらの結果は,パルプモールドや既往のパルプ射出成形とは異なる,セルロース繊維の新しい三次元成形の可能性を示すものである。</p>

Journal

  • JAPAN TAPPI JOURNAL

    JAPAN TAPPI JOURNAL 72 (3), 315-320, 2018

    JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY

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