ヒノキチオール経鼻投与による抗原特異的IgA抗体産生への影響

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タイトル別名
  • Impact on antigen­specific IgA antibody immune responses by nasal administration with hinokitiol
  • ヒノキチオールケイ ビ トウヨ ニ ヨル コウゲン トクイテキ IgA コウタイ サンセイ エ ノ エイキョウ

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抄録

<p>ヒノキチオール(HNK)は,古くから細菌や真菌に対する抗菌性について知られているが,ヒトの免疫システムへの影響,特にHNK の経鼻投与による粘膜系および全身系における抗原特異的IgA 抗体の誘導と産生に関する報告はほとんどみられない.本研究では,BALB/c マウスを用い,実験群マウスにはHNK 5 μg(HNK5)あるいは50 μg(HNK50)とともにニワトリ卵白アルブミン(OVA)抗原100 μg を,ネガティブコントロール群マウスにはOVA 抗原のみを,ポジティブコントロール群マウスには強力な粘膜アジュバントであるFlt3 ligand を発現するDNA プラスミドをOVA 抗原とともに毎週1 回計3 回経鼻同時投与を行った.そして,初回投与(Day 0)から21 日目(Day 21)における唾液や鼻腔洗浄液(NWs),血漿中におけるOVA 抗原特異的IgA 抗体価の動向を観察し,HNK の粘膜アジュバント作用の有無を検討した.唾液およびNWs,血漿中のOVA 特異的IgA 抗体価を抗原特異的ELISA 法により測定したところ,HNK5 およびHNK50 の唾液,NWs,血漿中のOVA 特異的IgA 抗体の誘導は確認されたが,ポジティブコントロール群とは有意な差が認められた.さらにDay 21 における顎下唾液腺(SMG)および鼻腔粘膜固有層(NPs),鼻咽腔関連リンパ組織(NALT),脾臓,頸部リンパ節(CLNs)におけるOVA 特異的IgA 抗体産生細胞数を抗原特異的ELISPOT 法により測定したところ,HNK5 群およびHNK50 群のSMG, NPs,NALT では,OVA 特異的IgA 抗体産生細胞の誘導は認められなかったが,HNK5 群およびHNK50 群の全身系免疫のリンパ関連組織である脾臓およびCLNs では,OVA 特異的IgA 抗体産生細胞数の誘導が認められた.しかしながら,ポジティブコントロール群マウスの脾臓およびCLNs のOVA 特異的IgA 抗体産生細胞数とは有意な差が認められた.以上のことから,HNK の経鼻投与は,SMG およびNPs, NALT の粘膜系と脾臓およびCLNs における全身系におけるOVA 特異的IgA 抗体の誘導と産生に関する免疫学的影響は認められず,HNK はOVA 抗原に対する粘膜アジュバントとしての作用を有しないことが示唆された.</p>

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 81 (1), 16-23, 2018-03-25

    大阪歯科学会

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