歯列弓幅径の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置治療効果への関与

DOI
  • 幸塚 裕也
    昭和大学歯学部全身管理歯科学講座歯科麻酔科学部門 千葉大学大学院医学薬学府呼吸・循環治療学研究講座麻酔科学領域
  • 磯野 史朗
    千葉大学大学院医学薬学府呼吸・循環治療学研究講座麻酔科学領域
  • 飯島 毅彦
    昭和大学歯学部全身管理歯科学講座歯科麻酔科学部門

書誌事項

タイトル別名
  • The Effects of Dental Arch Measurements for the Prediction of an Oral Appliance Therapy for Obstructive Sleep Apnea Syndrome

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抄録

<p> 【要約】 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (Obstructive sleep apnea syndrome, 以下OSAS) に対する口腔内装置 (Oral appliance, 以下OA) 治療は, 下顎を前方移動することで咽頭気道を開通させる. したがって咽頭気道幅径が大きいほうがOAの治療効果も高いと考えられる. 咽頭気道はその周囲にある軟組織と骨組織によって規定されるので, 歯列弓幅径の計測が咽頭気道幅径の評価に効果的であると考え, 歯列弓の長径および幅径とOA治療効果が関係しているかを後ろ向きに検討した.</p><p> 昭和大学藤が丘病院麻酔科口腔内装置外来を受診しOA治療を行った294名のうち, 歯列模型を含め本研究の資料が揃った63名を対象とした. OA装着下の無呼吸低呼吸指数 (AHI) が治療前と比べ50%以上改善し, かつ5回/時間未満となったものをResponder群とした. OA治療の効果予測因子を明らかにするため, 評価項目の諸量を共変量として二項ロジスティック回帰分析を行ったところ, 治療前AHI (回/時間) (オッズ比0.938, 95%信頼区間0.883~0.996) と下顎両側第一大臼歯近心頰側咬頭頂間距離 (mm) (オッズ比1.146, 95%信頼区間1.014~1.295) が有意な独立影響因子として抽出された. Youden indexよりそれぞれの因子のカットオフ値は28.3回/時間 (曲線下面積0.676, 感度0.870, 特異度0.425), 39mm (曲線下面積0.692, 感度0.652, 特異度0.750) であった. このことから咽頭気道幅径が大きいほうが治療効果も高いことが示唆された.</p>

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