景観写真で読み解く気候:教員養成における写真活用の学習の必要性  [in Japanese] Surveying Climatic Landscape in Photograph:Necessary in the Learning to the Photograph Utilization at the Faculty of Education University  [in Japanese]

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地理学における気候は,人間の社会的営みと深く関連するもので(福岡 1993),気候学習は学校教育段階において社会科や地理歴史科に位置づけられている.これらの諸点を踏まえても,気候学習は大気の平均状態の認識育成にとどまらず,人間社会との連関を総合的に捉えることに学習の眼目がある.しかし,気候は不可視的で時間的・空間的変動が大きい大気の平均状態で抽象性が高く,理解することが元来難しい.気候の景観写真が教材としての意味をもつためには,学習者が地域で数十年以上卓越する気候を反映した建造物や植生,土壌を推考することを伴う.大学生段階では,現在の気候の理解だけでは不十分であるという気づきがみられるものの(松原 2009),教員養成として,まず在学生の現在の気候を推考する特徴を捉えて,初等・中等教育段階における有意な学習内容を構築する必要がある.本発表では,教員養成大学在学生の写真の読み取りと活用意識を踏まえ,教員養成を中心に気候学習の内容を議論し,写真の推考によって理解できる内容を示す.<br><br><b>調査</b><b> </b>教員養成大学在学生(63名)に気候景観に関する写真の読み取りに関するアンケートを行った(2017年12月).内容は,視聴覚教材に対する活用(質問1:社会科の授業を行うとして,以下の教材は活用しやすいと思いますか)と将来的志向(質問2:以下の教材を積極的に活用したいですか),および写真(図1)の読み取り(質問3:a地域・国,b気候帯,c季節,d気候帯の判断理由)についてである.質問1,2は5段階評価でそれ以外は記述で行った.<br><br><b>結果</b><b> </b>視聴覚教材のうち,写真は在学生が最も活用しやすいと考え(4.71点),将来的活用志向(4.68点)も高い.大学生段階で活用しやすいと感じている教材ほど将来的活用の志向も高く(表1),地理を専門としない教員にとっても抵抗感が少ない教材と考えられる.気候帯の判断は,最大人数の割合が現実とよく一致する写真(1,3,4,7)と一致しない写真(2,5,6)がある(表2).一致する写真は,ヤシ(1),桜(3),田・稲(4)といった気候帯特有の植生,日本(国)を判断できる電車(7)が気候帯の判断理由となっている.一致しない写真は,樹種が判断できない(2,6)か,ツリーと判断できても全気候帯にみられ地域性の判断が難しい事象(5)が判断理由であった(表3).このように,いずれの写真も気候帯の判断は植生に依拠している.乾燥帯における霧採取ネット(6)は既得知識がない場合事象の理解は困難であるが,日本各地に分布する屋敷林(4)であっても気候対応には着目されにくい.植生≒気候のイメージを超えて,気候対応の多様な事象に着目させて,気候学習の教材観を育成する必要がある.

Journal

  • Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers

    Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2018s(0), 000045, 2018

    The Association of Japanese Geographers

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