障害と技術の関係をめぐる地理学的諸問題

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タイトル別名
  • Geographical problems on the relationship between disability and technology

抄録

身体的損傷impairmentを負った人々の生活にさまざまな技術が埋め込まれていくにつれ,障害disabilityを空間-技術-身体の三項関係の中に位置づける必要性が増してきた.そこで本研究では,(1)建造環境,(2)情報通信技術,(3)生物・生命・福祉工学に着目して障害と技術の関係をめぐる地理学的諸問題を整理し,それらを理解するための概念的枠組を検討した.(1)については,健常者中心主義的に生産された建造環境における身体的損傷を負った人々の社会-空間的排除・包摂の道具・象徴・景観等としての技術をめぐる問題が生じている.(2)としては,デジタルディバイド,仮想と現実の境界線上に再定位される障害,インターネットによる物理的移動の価値の転換,交通系ICカードのような建造環境の問題と密接に関係する「移動」の問題等が挙げられる.(3)としては,生体認証技術による「移動」の管理,医療技術や生命倫理の地域差,人工装具に対する周囲の反応,技術と結びついた新しい身体観の創出とそれに基づく「生そのもの」の管理等が挙げられる.そして拙稿で提示した「可能にする/不可能にさせる空間」という概念に基づくと,これらの諸問題を関係論的に理解できると考えられる.今後は関係論的な障害/自立観を基に,技術の物質性や技術性technicity,それを取り巻く制度・政策等を検討していく必要があると筆者は考える.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763016696832
  • NII論文ID
    130007411956
  • DOI
    10.14866/ajg.2018s.0_000124
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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